平成生まれの新入社員の育て方。その傾向と対策

 | マナー講師
平松 幹夫

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平成生まれの新入社員の特徴

「最近の若い者は……」と言う言葉は、年長者や上司が若者に向かって発する常套句です。上司や先輩が新入社員に対して見下すような言い方をするのは、社会人として、長年培ってきた知識や経験、あるいは処世術を誇っての優越感からでしょうが、反面、そのような彼らさえ扱えないことを露呈してしまっています。

平成生まれの新入社員は義務教育で「ゆとり教育」を受けた、いわゆる「ゆとり世代」です。確かに、「非ゆとり世代」とはなにかと異なり、さまざまなギャップが発生するため「平成生まれの新入社員の教育は難しい」という話を多々耳にします。

「平成生まれの新入社員」は、豊かで便利な時代に育っています。さらに、勉強にしても遊びにしても多種多様なツールが用意されており、選択肢が豊富にあるのが特徴です。答えも苦労して導く必要はなく、選べばいいわけです。そのため、メンタルの面で弱く、チャレンジ精神に乏しいといわれ、下記のような傾向が見られます。

・社会のルールや常識を知らない
・指示されたことしかできない
・マニュアル通りのことしかできない
・注意するとすぐやめる
・異世代とのリアルなコミュニケーションが苦手
・自分のためにならないと思ったことはやらない
・他者に対する視点が欠如している
・深く考えるのが苦手
・チャレンジ精神に欠ける
・楽しく格好いい仕事を好む

では、平成生まれの新入社員は、先輩や上司に対して限りなく不利な立場にあるのでしょうか。決してそうではありません。彼らは、協調性もあり、素直で真面目で、加えてIT能力に長けています。理解力が高く、ひと昔の世代とは比較にならないほど多くの情報量を持っています。

平成生まれの新入社員に「何をどのように教えるのか」

平成生まれの新入社員に安易に「ゆとり世代だから」という負のレッテルを張るのではなく、彼らの足りない部分を補い、そして強みを上手く活かし、企業の発展へとつないでいくことが最も大切です。
そのためには、受け入れる側が、社会の構造変化がもたらした時代の流れを認識し、彼らのことをしっかりと理解し、真摯(しんし)な態度で向かい合っていくことが必要です。つまり、時代の流れに合った新入社員教育が求められているのです。

まずは、「仕事に対する心の問題」が、平成生まれの新入社員は大きく異なるということを充分に考慮した上で、「あせらず、じっくり育てていく」心構えが大求められます。加えて、「何を教えるのか?」「どのように教えるのか?」を明確にした育成計画も必要でしょう。

■何を教えるのか?
・ビジネス社会の現実を理解させ、「働いて給料を稼ぐとはどういうことか?」「組織とは何か?」さらに「働く喜び」「仕事の喜び」等

・自分の事より優先しなければいけない「職場のルールやしきたり」が存在すること

・職業人としての「マナー&コミュニケーション」および「業務に必要なスキル」

・「下積みの苦労」「我慢すること」「耐える事」「他者を思いやること」といった不易流行的側面。つまり、時代が変わろうとも変えてはならないこと

■どのように教えるのか?
・相手の意向や考え方をよく聴き、信頼関係を築くことが先決

・「こちらが笑えば相手も笑う」スタイルで
ゆとり世代は、異世代には人見知りします。新入社員の関心を無理に引こうとするのではなく、先ずは相手に対して関心を寄せることが大切です。つまり、「思い内にあれば、色外に出る」で、新入社員との人間関係作りはこちらの出方次第です。

・「座学+行動」
机上で学ぶことに慣れた世代ですから、座学は功を奏します。しかも先輩や上司が講師を務めれば、コミュニケーションが図れるので一石二鳥です。一方、彼らは知識はあっても経験は全くありません。座学とともに、行動することも多く取り入れるべきです。

・褒めて伸ばす
彼らは褒められて育った時代です。どんな些細なことでも、しっかり目を見て褒める。悪いことを指摘する前に、良いことを褒めるのです。褒められた喜びがさらなる意欲を生み、やがて成果に繋がります。

・「何のためにそうするのか?」を伝える
単に指示するだけでなく、相手の主体性を引き出すような教え方も必要です。また、新入社員といえ、「早く、創造的な仕事がしたい」という欲望は強いようですが、いきなり格好いい仕事ができるはずはありません。将来を視野に入れれば、成長段階において「嫌な仕事」も体験させる必要があります。「譲れない部分は譲らない!」といった毅然とした態度も時には必要です。

・「報・連・相」を徹底させる

平成生まれの新入社員を生かし、会社を成長させられるかは先輩・上司次第

そして、これらを可能にするには、「教える側の技量」と「職場の環境整備」です。平成の新入社員を育てる本質的な対策は、まさにここにあります。

■教育に携わる先輩・上司のレベルアップ
・「黙してこれを成し、言わずして信なるは徳行(とっこう)に存(そん)す。」という言葉があります。地位や能力で新入社員を引っ張っていくことも大切ですが、先輩や上司の持つ「人間的な魅力」で信頼関係を築き、新入社員を引っ張っていくことも大切です。先輩や上司は日頃から「日々挑戦」の精神で、人間磨きに励むことです。

・さらに、先輩・上司は部下に誇れる「何か」があることが理想です。「何か」は一芸に優れたものが理想ですが、仕事上のスキルでも人柄でもかまいません。それが無ければ、新入社員の顔色ばかり伺うようになります。

・素敵なマナーの修得してください。どんな仕事でも職場でも、つまるところは人間関係です。そして良好な人間関係作りには素敵なマナーが必要不可欠です。しかし、マナーは新入社員のために存在するのではなく、上に立つ人、指導的立場にある人が率先して身につけるものです。いくら新入社員がマナーを身に付けても先輩・上司が無関心なら本末転倒です。

■迎える側の職場環境
・組織全体が、新入社員を温かく迎え、ともに頑張っていこうという姿勢を表現するために「老年の交わり」が効果的です。具体的には、新入社員を孤立させることなく、組織全員参加で、研修会や花見や運動会やクリスマスパーティーなどを開催し、セクションや立場を超えた老若男女の交流を積極的に図ることをお勧めします。

・新入社員にとって、「この職場で頑張っていこう」と思える、前向きの姿勢や魅力的な経営内容と社風づくりも大切です。

平成生まれの新入社員は企業の宝です。企業の20年30年後は、平成の社員が支えているはずです。彼らのことを理解し、彼らに合った教育で、彼らの強みを上手に活用した企業はますます成長することができます。「最近の若い者は……」の言及が、単なる愚痴になって、「先輩・上司」が、「時代の流れに適応できない」ということにならないように、自ら「主体的変容を遂げなくてはならない時代になった」ことを認識する必要があります。

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