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レーシックは本当に危険?眼科医の見解とレーシックに代わる矯正方法

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医療・病院

レーシックは安全なのか?

レーシックと聞いて、「本当に安全なのか?」「老眼が早まるのではないか?」といった印象を抱く人も多いようです。最近は「レーシック難民」(レーシックの手術後、眼、体に問題、症状が起こっているのに、適切な治療を受けられないでそのままにせざるを得ない人たちのこと。手術したクリニックでは解決できず、他の病院やクリニックを転々としている)との言葉もあり、2010年のレーシック手術集団感染事件と相まって、悪いイメージも少なからずあります。

眼科専門医として断言できるのは、レーシックを受けた人の大多数は満足されています。当然、手術ですので、予期せぬ合併症がおこる可能性はゼロではなく、また手術前後の医師と患者との意思疎通がスムーズに行われなかったことによりトラブルが発生する可能性もあります。しかし、眼科専門医が信頼しているクリニックでしっかりと検査をし、適応であると診断されたならば、まず安心して受けられる手術であると考えております。

では、なぜ現在のように、レーシックの危険性が問われるのでしょうか?レーシックは保険診療ではないため、日本の医療には馴染まない「価格競争」や「宣伝合戦」が生じ、結果、コストを下げるために滅菌業務を疎かにしていた眼科が不幸な大事件を引き起こしてしまいました。また、過剰宣伝の中で、手術に対する正しい情報を知り得なかった患者が、自分の期待と実際の結果の中で思い悩み、「レーシック難民」となってしまったとも言えるかも知れません。

レーシックは「価格」だけで選ぶと危険

よくネットやテレビなどで「視力の変化 右 手術前0.1→手術後1.5」などとうたわれていますが、保険診療の眼科専門医からすると、あくまでもこの視力は「裸眼視力」であり、手術をしなくても矯正すれば(メガネやコンタクトレンズを装用すれば)1.5の視力はあったわけです。ただ、レーシックは正常な角膜を削ることによって、角膜の形を変化させ、それによって近視などの屈折異常を矯正します。本来あったものを削ってしまうわけですから、近視を矯正した代わりに何かの機能を失ってしまう可能性がゼロではありません。ほとんどの場合は、その失った機能よりも得た機能の方がはるかに有意義だと感じますので、「手術して良かった!」という喜びの言葉になるわけですが、中にはその失った機能が自分にとって大切な機能だったと、術後に気づく人もいます。そのような人には、手術を受けた自分への後悔、施行したクリニックへの不満が生じるということでしょう。リスクもあるわけですので、手術に関する正しい理解が大切ですし、信頼できる医師、クリニックのもとでレーシックを受けることをお勧めします。

費用に関しては、そのクリニックの姿勢が最も表れるところです。たとえば昨今では、野菜を買うにしても「安ければ安いほど良い」とはなりません。多くの人が価格以外の安全面なども考慮し、どの野菜を買うか決めていると思います。各クリニックで値段設定はさまざまですが、手術の前後にしっかりとしたフォローをしてくれるか、執刀医が自分にあった人かどうかも重要な判断要素です。自分の体にメス(レーザー)をいれるわけですから、価格面だけでの選択はお勧めできません。

また、レーシックに代わる屈折矯正方法は他にもあります。レーシックの致命的な弱点は「不可逆的」であることです。つまり、エキシマレーザーで角膜を削ってしまうため(削られた角膜は蒸散といって気体になってしまいます)、一度手術を施行してしまったら、「やっぱり、自分には合わなかったし、元に戻してくれ」と言ってもできません。体験したうえで、どうしても合わない場合は元に戻すことができる屈折矯正方法が、今後は台頭する可能性があると考えております。

レーシックに代わる矯正方法

一つは、話題になっている「オルソケラトロジー」です。これは、寝ている間に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形を夜の間に変形させることによって、日中は裸眼で、十分な視力が得られるというものです。ただ、角膜の上皮部分しか変形させることができないため、ある程度以上の近視の方は、満足な視力が得られません。もう一つは、「フェイキックIOL(IOLとは眼内レンズ、すなわち目の中にいれるレンズのこと)」といって、虹彩と水晶体の間にレンズを埋め込むことによって、屈折異常を矯正する方法です。フェイキックIOLは、レーシックの適応にならないような強度近視にも施行可能です。これらの方法は、「やっぱり元に戻したい」といった時に安心感があります。もちろん、それぞれ滅多にはないながらもリスクはあります。また価格面では、一般的には、オルソケラトロジーはレーシックより安価で、フェイキックIOLはレーシックより高価となります。

最後に、レーシックは歴史も積み重なり、器機の進歩も相まって、かつてに比べればはるかに安全性も高まっております。どの施術にせよ、信頼できる医師・クリニックで、しっかりと説明を受けて理解することが大切です。

白内障手術のプロ

森井勇介さん(森井眼科医院)

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