国際教養大学の就職率に見る、偏差値にとらわれない大学選び

 | 塾長
熊谷 修平

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就職率は、ほぼ100%。名だたる一流企業に就職する、秋田の「国際教養大学」

近年、大学全入時代と言われている中、「国際教養大学」という秋田市の郊外にある一大学が脚光を浴びています。学部は国際教養学部のみ。1学年175人で、150人以上の留学生を含めても学生数が1000人にも満たない小さな単科公立大学です。この大学が注目を集めている理由。それは、毎年の就職率がほぼ100%なのです。しかも、就職先には、丸紅や電通、三菱商事、東北電力や任天堂など、人気企業ランキングで常に上位の一流企業がずらっと並びます。今や、東大・早慶を上回る「就職に強い大学」として有名。受験の合格倍率は、8倍~10倍が当たり前となっています。「さぞかし、偏差値も高いのだろう」と思われますが、実はそこまで高くありません。大手予備校の最新の偏差値で見ると、平均63。東大や早慶などの超難関大学が平均68~70であることを考えても、同じランクとは言いえません。では、国際教養大学は、どういった大学でしょうか。

「国際社会で通用する教養人を育成する」国際教養大学の特色

その特色は、2004年の設立当初から従来の大学の方向性とは違っていました。国際教養大学の目的は、「国際社会で通用する教養人を育成する」。これが、この大学の理念であり、それにそって独創的なカリキュラムやサポート体制が組まれています。少し紹介すると、「入学後、授業は、数学や科学、自然科学など教養科目を含め、すべて英語で行われ、卒業までに1年間の海外留学が必須。学内には、学舎とともに学生寮が併設され、24時間365日開放された図書館がある。1年生は全員が寮に入居し、勉強三昧の毎日を送ることになる。部屋は外国人留学生との2人部屋。異なる文化を持つ者同士で、寝食をともにすることで国際感覚が身についてくる」と、徹底して「学ぶための充実した環境」がそこにはあります。当然、その厳しさのために4年間で卒業できる学生は50%程度と言われていますが、そこを卒業した生徒の「英語力」をはじめとして、「考える力」や「論理力」の高さなど、有名一流企業がほしがるのもうなづけます。

大学の入試試験は大学・学部ごとに、傾向も内容も違う

従来、大学受験というと、自分の偏差値と大学の偏差値を見比べ、それに見合った大学を選ぶ傾向にあります。そのため、模試などでも、どうしても偏差値は気にせざるを得ないものとしてしまうことは否めません。しかし、「偏差値とは何か?」と考えた場合、実はそれに惑わされてはいけない点に気づきます。1つは、「大学の入試試験は大学・学部ごとに、その傾向も、内容も違っている」という事実があり、そのため単に偏差値で輪切りに考えても、まったく意味はありません。逆に言えば、自分で目指す大学の出題傾向を調べ、それに合わせて勉強しなければ、いくら偏差値が高くても合格は遠のきます。目の前の勉強をしていれば、合格できるわけではないのが大学受験なのです。実際、国際教養大学の入試も、英語についてだけ見ても、他の大学とは傾向がまったく違います。たとえば、「英語の資料文(数ページ)を読み、その内容に関する自分の考えや具体例を交え、エッセイを書け」といった問題が出題されます。大学受験では、高校受験までとは違い、それぞれの大学が欲する生徒を選抜するための試験のため、大学・学部ごとの入試傾向はバラバラで、しっかりとそれに合わせて勉強していくこと必須です。

大学の選択は、大学卒業後の人生に大きく影響を与える

そして、もう1つは、当然ながら、大学の選択は「自分の大学卒業後の人生に大きく関わってくる」という点です。案外、この点に関しては「有名な大学に行けば、なんとかなる」と思っている人も多いですが、ここに大きな落とし穴があります。今回の国際教養大学の例のように、偏差値だけでは決してわからない大学のシステムがあるだけでなく、大学は、ある意味で、自分の卒業後の進路まで決めてしまう可能性があります。今回、例に挙げた国際教養大学は、あくまで「国際社会で通用する教養人を育成すること」が目的とされ、それに沿った内容になっています。同時に、今の時代、企業側もそういう人材を求めているからこそ、一流企業への就職率が高いという結果が出ています。つまり、当然ながら、就職後は海外とのやりとり、もしくは海外勤務が多いであろうし、それが活躍の場として与えられるといいうことになるでしょう。しかし、これは、そういった方向へ進むことを望まない人にとっては、最悪の選択になってしまいます。大切なのは、まずしっかりと「大学卒業後に自分がどの方向に行きたいのか?」というしっかりとした将来像を持つことなのではないでしょうか。

偏差値にとらわれず、将来を見据えた大学選びを

各大学が特色を打ち出すようになった時代では、「自分がその大学に行き、どういうことを学びたいのか?」「卒業後は、どういった方向に進みたいのか?」という点をしっかりと決め、単に偏差値だけではない大学・学部の選択が必要となってきています。もちろん、自分がやりたいことを決めたら、大学の理念や大学のカリキュラム・就職後の方向性など、しっかりと調べることも大切になるでしょう。そして、その上で、その大学・学部の傾向に合わせて、勉強をスタートしていく。それが求められています。「大学は、最終学歴の専門課程として、人生の方向性を決定づけるもの」という意識がますます重要になってきていると言えます。多くの経験をし、自分が目指す方向性を見つけ、大いに可能性を広げてもらいたいものです。

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