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ブラック企業を政府が公表。認定されないための労働環境の改善ポイント

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「ブラック企業」認定は、企業経営に大きな損失を与える可能性も

政府は、「ブラック企業の企業名を公表する」という方針を発表しました。そもそも「ブラック企業」の公的な定義はまだありません。一般的に「ブラック企業」とは従業員に対して、極端な長時間勤務など労働法や関係諸法に抵触する可能性があるグレーゾーンな条件での労働や、違法性の濃い営業行為を意図的・恣意的に強いたり、いわゆるパワーハラスメントを常套手段として本来業務とは無関係な部分での非合理的負担を強制し、それを改善しない体質を持ちます。それゆえに入社を勧められない、あるいは早期の退職が勧奨されるような企業を総称する言葉が「ブラック企業」といわれています。

今後の政府の動きにもよりますが、「ブラック企業」と認定されてしまうと、求人しても応募者が激減し、採用活動がうまく進まなくなります。また、取引先から「取引停止」の判断を下される可能性もあり、その結果として企業経営に大きな損失を与えかねません。これらの状況をふまえた上で、「ブラック企業」と認定されないためには、まずは労働環境を改善することが重要です。その改善のポイントは、まず第一に「長時間労働の是正」、そして「労働基準法に違反する項目の是正」と「パワハラ体質の改善」という3つが挙げられます。

長時間労働の是正

「ブラック企業」と呼ばれる企業には、「労働時間が異様に長い」というわかりやすい特徴があります。また、長時間労働の問題点として、残業してもその分の賃金が支払われない「サービス残業」化していることが挙げられます。その他にも、長時間労働によりメンタル不調に陥り、退職に追い込まれている人も多いのが現実です。さらには過重労働により過労死などの問題が起きれば労災認定され、企業が責任を問われる可能性も高まります。

「労働時間が長い」といわれている業界にいると、感覚が麻痺してしまい、「この業界は、長時間労働が当たり前」といった考え方になりがちですが、この考え方自体を全面的に改めることができるかどうかが鍵になります。

労働基準法に違反する項目を是正

労働時間、休日および割増賃金などに関して労働基準法で定められている最低の基準を守ることができずに、労働基準監督署から指導や是正勧告を何度も受けていながら改善できていない企業は「ブラック企業」と認定されても不思議ではありません。まずは、基本的なところから是正していきましょう。例えば、「正社員で基本給18万円、その中に残業時間100時間分を含む」というような契約で無理やり働かせているような企業は法律違反以前の問題です。また、即時解雇を頻繁に行い、その際に解雇予告手当を支払わないでトラブルになり、労働基準監督署から何度も呼び出しを受けているような企業も要注意です。まずは労働基準法を遵守し、労働者が安心して働けるような労働環境を積極的に構築していかなければなりません。

パワハラ体質の改善

ブラック企業といわれる企業には、若者を酷使し、最終的に暴言やパワハラによって退職に追い込むイメージがあります。経営者をはじめとする役員陣がパワハラを平気で行っているような場合、その組織内は「パワハラ体質」に染まってしまい、それらが管理職にも影響し、若手従業員へのパワハラの常態化につながっているといえます。そのような環境においては、経営者自らが立ち上がり「パワハラのない職場環境を創造する」というような宣言をし、社内で「パワハラ対策セミナー」を開催したり、社内アンケートを実施するなどして、「パワハラを絶対に許さない」という社風に変えていかなければなりません。

これら3つのポイントは、いずれも基本的なことで会社経営においても重要なことです。まずは、できることからすぐに取り組んでみてください。

庄司英尚

現場を大事にする社会保険労務士

社会保険労務士

庄司英尚さん(株式会社アイウェーブ(アイウェーブ社労士事務所 併設))

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