賃金の引き上げ。中小企業で実現できるのか
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異例の賃上げ要請も平均で昨年を下回る?

「財政出動」「金融緩和」「成長戦略」という「3本の矢」を柱とするアベノミクス。安倍首相は首相就任後、経済3団体への賃上げ要請をしました。これは、異例ともいえる要請です。この要請に対し、経済界では株式会社ローソンや株式会社セブン&アイ・ホールディングスなどが矢継ぎ早に、この春の賃上げを宣言しました。また、この夏の賞与では、トヨタ自動車株式会社や本田技研工業株式会社などが満額回答をするなど、いかにも日本中が賃金アップに動いたかのような報道がなされました。
しかし、最近の一部シンクタンクの発表では、今年の賃上げは平均で昨年を下回るという発表もされています。実情は、かなり厳しいということなのでしょう。
「中小企業金融円滑化法」により、中小企業は借金の鎖につながれた
中小企業経営に目を向けると、多少の円安になろうと株高になろうと、その経営状況は一向に回復の道をたどっていません。上場企業の景気回復が中小企業の業績に反映されるのは、半年から1年後といわれています。
さらに、この春に終焉を迎えた「中小企業金融円滑化法」により、平成25年3月末現在で金融機関からの401万口強の貸出について条件変更をしています。金額ベースで見ると、貸出金の元金ベースで111兆円強にも上ります。この返済猶予などの条件変更を受けた111兆円もの借入は、今後、中小企業経営を黒字にすることによって返済していかなければならない金額であることを考えると、これから何十年もの間、中小企業は重い借金の鎖につながれたことになります。
「賃上げ断行」が中小企業の活路を見出す
「大手先行の企業業績回復」「中小企業金融円滑化法の重いツケ」「景気回復期には大手企業に新卒者が殺到する雇用情勢」。これらを鑑みると、良い人材を確保して業績を上げようとする中小企業の取るべき道はただ一つ、「賃上げ断行」です。最低限、賃金制度の変更です。企業経営をする以上、国の制度に反することはできません。しかし、ただ制度に虐げられるのではなく、積極的に人財確保を目指す行動、すなわち「賃上げ」が必要になるのです。
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