宮沢りえのヌード写真集所持で逮捕?児ポ法改正案の懸念点

 | 弁護士
藤本 尚道

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「単純所持」にも規制。「児童ポルノ」の定義が曖昧ゆえの危うさ

宮沢りえ「サンタフェ」所持で逮捕?児童ポルノ禁止法改正案の懸念点自民党、公明党、日本維新の会の三党により衆議院に共同提出された「児童ポルノ禁止法」改正案は、国会会期中に議決されず、継続審議されることが決まっています。改正案では、「児童ポルノ」について、現行法で禁止される「第三者への提供」だけでなく、「単純所持」にも規制の輪が拡がっています。「みだりに児童ポルノを所持」してはならず、「自己の性的好奇心を満たす目的」で所持すると「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」です。

「児童ポルノ」の定義の中に、「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」があります。そうすると、例えば、女優の宮沢りえさんが17歳のときに出版したヘアヌード写真集「サンタフェ」も「児童ポルノ」にあたり、法改正後も持っていると逮捕されるおそれがあります。

また、「児童ポルノ」の定義が抽象的で曖昧なため、規制対象が恣意的に拡大される懸念もあります。英国では「孫の水浴び写真」を所持していた祖父が逮捕され、米国では「授乳を受けている我が子の写真」を所持した罪で両親が起訴されています。

「しずかちゃん」の入浴シーンも問題に?「表現の自由」はどこへ

「児童ポルノ」の定義が曖昧であることは、それだけで「表現の自由」に「委縮効果」をもたらします。写真集などは「児童ポルノ」にあたらないことをチェックしてから公刊しないと処罰されかねませんので、事前に監督官庁にお伺いを立てる事態に陥るかもしれません。これでは事実上の「検閲」がまかり通ってしまいます。

さらに改正案では、これまで規制の対象でなかった漫画やアニメやCGなどにつき、「検討規定」を置いて、3年を目途とする「調査研究」の対象にしようとしています。この点も「表現の自由」の侵害につながるのではないかと、大きな論議を呼んでいます。

仮に、将来、漫画やアニメなどに規制の対象が拡がると、たとえば「ドラえもん」に登場する「しずかちゃん」の入浴シーンも問題にされるかもしれません。「リカちゃん人形」も、着せ替えができるということは裸にもできるわけですから、規制対象にされてしまう可能性もゼロではありません。

児童への「性的暴力」を無くすことは絶対に必要なことであり、その方向性は世界的に見ても大きな潮流になっています。しかし、規制対象の絞り込みや規制方法の選定を誤ると、「表現の自由」を抑圧する一方で、犯罪を抑止する効果を失わせるばかりか、「犯罪のアンダーグラウンド化」を押し進める結果になるのではないかと大いに懸念しています。

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