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通貨供給量、過去最大の3.0%増。景気は改善するか?

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日銀の量的金融緩和により通貨供給量は過去最大の伸び

通貨供給量、過去最大の3.0%増。景気への影響は?

日銀が9日発表した6月のマネーストック(通貨供給量)速報によると、現金や預金などの代表的指標である「M3残高」(現金とすべての預金取扱機関に預けられた預金を合計したもの)は、前年同月比3.0%増の1158兆2000億円でした。これは2004年4月以降で最大の伸びです。アベノミクスの「日銀黒田バズーカ」といわれる量的金融緩和を受け、金融機関が企業や個人に対し、貸し出しを増やしていることが背景にあるようです。

通貨供給量の伸び率増加で景気改善に期待も・・・

通貨供給量とは、実際の世の中の経済に出回っているお金の量のことです。国や金融機関以外の一般の企業や地方公共団体、個人が持っているお金の量を示します。景気の指標は、通貨供給量よりも対前年同月比の伸び率です。伸び率が増加したということは、世の中の資金量が増えたことになります。この資金で物を買うことにより、物の価値が上がり、その結果、物価は上昇し、インフレになります。

しかし、M3残高の内訳では、主に普通預金や当座預金からなる預金通貨が5.4%増と大きく伸びました。企業は金融機関から借り入れた資金を設備投資に回さず、預金として手元にとどめているようです。現在は景気改善の期待が先行し、投資や消費の増加など実体経済の変化はまだありません。

少子高齢化対策で「安心の老後」をつくることが消費を促す鍵

政府は6月14日、日本再興戦略を策定しました。

●日本産業再興プラン
(設備投資の増加、失業率の減少、女性の就業率の向上、黒字の中小企業を2倍にする など)
●戦略市場創造プラン
(健康寿命、エネルギーの需給、インフラの構築、農業と観光)
●国際展開戦略
(FTA比率アップ、中小企業の輸出2倍 など)

この成長戦力が日本経済を変えると期待できれば、企業の設備投資や個人消費は誘発されるでしょう。ただ、この日本再興戦略には大事なところが抜けているような気がするのです。深刻化する少子高齢化問題、つまり人口を増やす戦略は見当たりません。社会保障費は100兆円を突破しています。国民が将来のくらしに不安を感じている限り、消費より貯蓄になってしまうのです。老後の安心がなければ、簡単に消費にはまわりません。

今、日本経済は大変厳しい状況に置かれています。政府はいまだかつてない財政赤字を抱えつつ大胆な量的金融緩和を行ってきました。しかし、このまま国に頼っているだけでよいのでしょうか?個人が、企業が、できることがあるのではないでしょうか。今より少しの努力をしていくことで、日本経済が成長に向かい、景気は改善すると思います。

石井順子

金融機関20年の経験からアドバイスするお金のプロ

ファイナンシャルプランナー

石井順子さん(ファイナンシャル・プランナー 石井順子)

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