しずる村上のラーメン二郎本がトラブル。法的な問題点は?

 | 弁護士
田沢 剛

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出版物に掲載する情報には要注意

しずる村上のラーメン二郎本がトラブルに 法的な問題点は?お笑いコンビ「しずる」の村上純さんが「ラーメン二郎」のうんちくを本に書いたところ、「ラーメン二郎 東京・三田本店」の店主が激怒したとの情報がネット掲示板に書き込まれ、物議を醸しています。

本を出版すると、そこに掲載される様々な情報が国民一般に広く公開されることになります。その情報には、著作者本人のものだけではなく、第三者のプライバシーに関するもの、企業の信用や取引状況といった経済的な価値を有するものなども含まれることがあるため、掲載にあたっては細心の注意が必要です。

本の内容によって、情報が外部に漏えいしたり、あるいは情報そのものが加工され伝わったりして、第三者が有する名誉、信用等に悪影響を及ぼすと、その個人や企業の社会生活や経済活動に重大な支障をきたしてしまいます。特に現代社会においては、情報そのものの価値が高まり、情報の伝達・利用手段が多様化し、通信も高速化しています。これらを鑑みると、公開してほしくない情報が実際に公開されてしまった場合の影響は計りしれません。

名誉毀損の責任より「表現の自由」が優先されるか?

そこで、名誉毀損、信用毀損、プライバシーの侵害、不正競争等といった法的問題が発生することになります。名誉毀損等の行為がなされた場合には、民事上は金銭的な損害賠償責任(民法709条)が生じます。しかし、名誉や信用の毀損に関しては、金銭での損害を評価し尽くすことが困難であるため、謝罪広告などの名誉回復措置や信用回復措置を求める権利も認められています(民法723条、不正競争防止法14条)。また、事前に行為がなされること自体を差し止める権利も認められています(不正競争防止法3条1項、同法2条1項14号など)。

そして刑法上も、名誉毀損罪(刑法230条)、侮辱罪(同法231条)、信用毀損罪(同法233条)などが定められているため、行為の態様が悪質である場合には処罰の対象ともなり得ます。

しかしながら、本件のような出版行為は、いわゆる「表現の自由」の問題も絡んできます。出版内容が公共の事柄に関するもので、出版も公益を図る目的でなされ、その内容も真実であるといった事情がある場合には「表現の自由」が優先し、名誉毀損等の責任は生じないものとされています。仮に、本件が法廷闘争に持ち込まれた場合には、このように「表現の自由」が優先されるべき事情があるのかどうかが鍵となるでしょう。

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