猪瀬知事は辞任を免れない?5000万円借り入れの決着は?

 | 弁護士
舛田 雅彦

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選挙資金に使う目的の借り入れであれば報告書への記載が必要

猪瀬知事は辞任を免れない?5000万円借り入れの決着は?徳田毅衆議院議員の選挙運動に関する公選法違反事件で医療法人「徳洲会」グループに対する強制捜査が行われ、その過程で猪瀬直樹東京都知事が同グループから5000万円の資金提供を受けた問題が発覚しました。

発覚直後の猪瀬知事の説明によると、「知事選出馬を決意した2012年11月に、石原前知事の後継者ということで徳洲会理事長の徳田虎雄氏に面会して知事選出馬のあいさつをした。そして、知事選立候補を表明する前日の11月20日に、虎雄氏の次男、徳田毅衆院議員から現金5000万円を受け取った。これは借りた金だったので、今年の9月6日に秘書を通じて徳洲会側に返金した」というものでした。そして、「このときには選挙資金は自己資金の3000万円で賄えたので、借りた5000万円には手をつけていない。5000万円を使った場合には選挙運動費用収支報告書に記載するつもりだった」とも述べていました。

この説明だと、「選挙資金として借りた」としか受け取れないのですが、その後、あくまでも「個人的な借り入れ」であったと趣旨を一転させました。それは、仮に使わなかったとしても、選挙資金に使う目的の借り入れであれば知事選の選挙運動費用収支報告書や政治資金収支報告書に記載する必要があるということに気づいたからでしょう。

社会の常識からかけ離れた知事の説明に納得感はない

猪瀬知事は、5000万円の借入金をこれらの報告書に記載していないので、選挙資金として借りたと認めてしまえば、政治資金収支報告書の虚偽記載罪、公職選挙法の虚偽記載罪に該当してしまいます。そのような事態になれば、知事としての政治生命は絶たれてしまうと思っての説明変更なのでしょうが、この説明を聞いて納得した人はほとんどいないと言ってもよいくらい苦しい説明です。

そして、虎雄氏とはその挨拶の時がほとんど初対面ということでしたが、初対面の人に5000万円もの大金を、個人的な貸金として無担保、無利息で貸すなどということはありえないのが、いわば社会の常識です。猪瀬知事の説明は、その常識からかけ離れたものであることは否定できません。

加えて、そもそも借りた金を必要がなくなってから1年間も返済せず、徳洲会に対する強制捜査のタイミングで返済したというのは、元々返す気がなかったのではないかと疑われても仕方ないところです。

オリンピックの準備に支障も。辞任して再選挙で信任を得るべき

猪瀬知事は、11月26日になって、徳洲会側から返却されたという「借用証」を公表しました。そこには「徳田毅殿 平成24年11月20日 金5000万円也 猪瀬直樹」とあるだけで、返済期限や利息は記入されておらず、押印、収入印紙もありませんでした。そのため、この借用証は「偽造」ではないかという批判もありますが、仮に後から作ったとしても、本人が作成したものであれば「偽造」ではないので、その批判は当たりません。また、贈収賄についても、副知事退任後のタイミングであるため単純収賄は成り立たず、具体的な請託を受けていたわけでもないということになれば、都知事就任前の事前収賄罪も成立しないので、ギリギリセーフということになりそうです。

しかし、徳洲会は東京都内にも医療・保険施設を複数展開しており、知事はそれらの施設に対する補助金や許認可権限をつかさどる機関のトップです。そこに不明朗な関係が取りざたされるようでは、都政の停滞は避けられないでしょう。

猪瀬知事は東京オリンピック招致の功労者の一人であることは間違いないのでしょうが、ここで居座りを続けると、そのオリンピックの準備に支障を来す事態も予測されます。都議会もオール野党状態ですから、知事を続けるにしても、一旦は辞任して再選挙で都民の信任を得るというのは最低の条件ではないでしょうか。

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