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京都スタジアムの集客アイデア精査、専門家の見解

京都スタジアム(仮称)の建設が亀岡市に決定

京都スタジアムの集客アイデア精査、専門家の見解

京都府の山田啓二知事は、球技専用の京都スタジアム(仮称)を亀岡市に建設する方針を2012年12月26日に提示。それを受けて招集されたのが、運営経営専門家会議です。回を重ねて2013年12月24日には第4回が開催されました。

京都スタジアム(仮称)は、現在J2(Jリーグ・ディビジョン2)に所属するサッカーチーム「京都サンガFC」がホームグラウンドとして使用する方向で進められていますが、サッカーの試合だけでスタジアムの経営が成り立つ見込みは低く、試合がない時も集客できるアイデアが求められていました。京都府が出した案に対し、運営経営専門家委員からは「集客アイデアについてさらなる精査が必要」という意見が出されました。

集客アイデア以前に考えなければいけない問題

しかし、集客アイデア以前に考えなければならない様々な問題があります。一番の問題は、年間約20試合という「京都サンガFC」では、経営のメインエンジンにはなり得ないということです。京都府は、スタジアムの年間管理運営費を年4000万円の赤字と試算しています。ただ、国の天然記念物で国内希少野生動植物種でもあるアユモドキの保護は環境省も懸念しているところであり、昨年起きた台風18号の亀岡駅周辺洪水被害も記憶に新しい。その他の問題を解決するための対策初期投資、対策維持費も合わせると、もっと大きな金額になると思われ、年4000万円の赤字では済まないのではないかという不安が残ります。

「その赤字をどうやって補うのか?」となると、結局は税金、つまり京都府民が払うことになるでしょう。府と運営経営専門家会議の優先課題は、実現可能な経営のエンジンを設計することです。動かないエンジンに府税というエネルギーを投入しても動かないままです。

専用球技場の必要性と誘致場所決定の理由は?

経営には有効なエンジンが必要なのです。年4000万円と建設費100億円の府税を投入するのであれば、府民の応援は欠かせません。府民に対し、経営のエンジンが起動する強いメッセージがあるはずです。しかし、誘致場所を亀岡市に決めた時の府知事の公式メッセージを探してみたが見つけ出せませんでした。2012年12月26日の京都新聞Web版には、決定理由として「利便性、経済性に優れていることを理由に...」とありました(現在は閲覧不可が)が、この時点で経営面は考慮されていなかったのでしょうか?

そもそも「専用球技場は必要なのか?」という疑問もわいてきます。誘致場所決定前の2012年12月3日に、府知事に提出された専用球技場用地調査委員会の報告書には「高い需要があるにもかかわらず、整備されていない球技場の新設検討」と書かれています。「高い需要がある」ならば、経営のエンジン設計もそう難しくはないはずです。京都府及び運営経営専門家委員は、その「高い需要」について専用球技場用地調査委員会に確認すべきだと思います。

手仕事を魅せるブランディング発信のプロ

畑本伸一さん(畑本経営者支援事務所)

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