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国際結婚に潜む法律の落とし穴

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日本人と外国人が結婚する場合、各当事者の本国法による

国際結婚に潜む法律の落とし穴

浜崎あゆみさん、宇多田ヒカルさん、歌姫たちが相次いで国際結婚をしました。彼女たちに憧れて国際結婚願望が強まる女性たちもいるかもしれませんが、国際結婚には気をつけておきたい法律がいくつかあります。今回は、それらについて紹介します。

日本人同士のカップルが国内で結婚する場合には民法が適用されますが、日本人と外国人のカップルが結婚する場合については、各当事者の本国法によることになります(法の適用に関する通則法24条1項)。そのため、婚姻の実質的成立要件を具備しているかどうかは、各当事者の本国法を確認する必要があります。例えば、再婚禁止期間は日本では6か月ですが(民法732条1項)、これより長い再婚禁止期間を要件とする外国人と結婚する場合には注意が必要です。

そして、結婚の方式は結婚した国の法、または当事者の一方の本国法によることとされています(通則法24条2項3項)。日本では、婚姻届を提出することが婚姻の成立要件とされていますが(創設的届出。民法739条)、外国の方式に従って結婚した場合は、その国が発行する婚姻に関する証書の謄本を日本の在外公館に提出する等の方法で届出をすることになります(報告的届出。戸籍法41条)。そうすると、日本人について新しい戸籍が作られます(同法16条3項。戸籍は日本国籍を有するものだけを登録する制度なので、外国人の配偶者は記載されません)。

また、日本では夫婦同姓制度となっていますが(民法750条)、外国人との婚姻の場合は別姓のままです。外国人の氏を名乗りたい場合には、婚姻から6か月以内に届出をするだけで変更することができます(戸籍法107条2項)。なお、婚姻や海外在住の事実だけで国籍が変わることはありません。

子どもが二重国籍を持つ場合、22歳になるまでに国籍を選択

出生の時に父または母が日本国民であるときは、日本国民とするとしていますので(国籍法2条)、国際結婚の二人の間の子どもは日本国籍を取得します。国外で出生した場合には3か月以内に届出をする必要があります(戸籍法49条1項)。その国で出生した者すべてに国籍を与える制度をとっている国(生地主義国)で生まれた場合や、その子が外国人である親の国籍を取得したりする場合には、二つ以上の国籍を持つことになりますので、出生届とともに国籍留保の届出をしないと、生まれた時に遡って日本の国籍を失います(国籍法12条)。二重国籍を持つ場合は、22歳になるまでに、いずれの国籍を取得するかを選択しなければなりません(同法14条)。

離婚の要件や手続きは各国によって異なる。ハーグ条約にも注意

国際結婚が破局となった場合、離婚において適用される法は通則法27条等で定められており、夫婦の一方が日本を常居所とした日本人である場合は、日本法が適用されます。ただし、離婚の要件や手続きは各国によって異なるため、日本での離婚が外国では有効な離婚と認められないこともあります。特に当事者の合意と届出のみで成立する協議離婚は特殊な制度ですので、裁判外の離婚を認めない国では有効とならないこともあります。

また、ハーグ条約が本年4月1日発効します。この条約は加盟国に対し、国際結婚が破綻した夫婦の一方が相手親の同意なく16歳未満の子を連れて出国した場合、子を一旦元の国に返すことが原則とされています。この点でも注意が必要です。

中村伸子

家族関係のトラブルを解決する法律のプロ

弁護士

中村伸子さん(あおぞら法律事務所)

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