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ブラック企業との取引はリスクだらけ

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継続的な取引でトラブルが発生するリスクは相対的に高まる

ブラック企業との取引はリスクだらけ

先日、兵庫県労働局は県内172社(事業所)で長時間労働や賃金不払いなどの法令違反があったとして、これらの違反企業に是正勧告を出しました。いわゆる「ブラック企業」とは、過酷な労働条件で労働者を使い捨てにする企業のことですが、このような企業との関わりが問題になるのは労働者や求職者だけでしょうか。ブラック企業と取引するリスクについて考えてみたいと思います。

当然ですが、ブラック企業においては、その労働条件の過酷さゆえ、離職率は高くなります。担当がコロコロと変わるということになると、信頼関係を前提としたコミュニケーションの醸成は難しくなり、継続的な取引をする上でトラブルが発生するリスクは相対的に高くなります。また、そもそも優秀な人材を集めることは難しく、場合によっては頭数自体が足りていないということも十分あり得ますので、業務がしっかりと回せていない可能性が高く、信頼して仕事を任せることができない、というリスクも現実的です。

ブラック企業は、取引社会そのものに対して敵対的な存在

さらに、コンプライアンスを重視する昨今においては、ブラック企業と取引をしているという事実自体が、その会社の評判を落とすということになりかねません。会社は社会の公器ですから、そもそもモラルの低い企業とは関わりを持たないことが本質的に求められているともいえます。

このように、ブラック企業は、労働者に対して害悪をもたらすだけではなく、取引社会そのものに対して敵対的な存在であるといえます。したがって、冒頭に紹介させて頂いた労働局の取組なども、基本的には正しいものであるといえます。

「競争に『節度』と『モラル』を取り戻す」。この思考が必要

しかし、そもそもなぜ「ブラック企業」が数多世に現れるようになったのでしょうか。「ブラック企業」に通底する「利益さえ上がれば何をしても構わない」という発想は、いわゆる新自由主義の考え方と軌を一にします。

一部の資本家の強欲に押し潰された中小企業が、さらに弱い存在である労働者にしわ寄せを強いている状況、それが「ブラック企業」という現象ではないでしょうか。「競争に『節度』と『モラル』を取り戻す」。そういう方向から思考を進めていかなければ、いくら労働局が是正勧告を繰り返しても何も変わらないのだと思います。

個人と中小企業を支援する法律のプロ

佐々木伸さん(平野・佐々木法律事務所)

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