がんを疑うべきカラダの異変

 | 内科医
大西 勝也

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日本全国で約4.2万人の患者がいる前立腺がん

がんを疑うべきカラダの異変自民党の高村正彦副総裁は、前立腺がんの治療のため東京都内の病院に入院することを記者団に明らかにしました。前立腺とは、膀胱(ぼうこう)の下にあり、精液の一部を作っている男性にだけある臓器です。わが国の前立腺がんによる死亡数は年間約1.1万人で、男性のがん死亡全体の5%を占めます。また、前立腺がんを患っている人は日本全国で約4.2万人で、男性でがんを患っている人の約1割を占めます。65歳前後から目立って前立腺患者は増えています。

前立腺がんと診断された人のうち、5年後に生存している人の割合(5年生存率)は93.8%と高く、早期に発見すれば手術、放射線、お薬で治療することが可能です。また、比較的進行がゆっくりであることが多いため、かなり進行した場合でも適切に対処すれば、通常の生活を長く続けることができます。

「尿の切れが悪い」は前立腺がんかも?

残念ながら、早期の前立腺がんには特徴的な症状はみられません。しかし、前立腺がんでは、前立腺肥大症が同時に存在する場合が多く、その症状が早期診断の役に立ちます。前立腺肥大による症状には、「尿が出にくい」「尿の切れが悪い」「排尿後すっきりしない」「夜間にトイレに立つ回数が多い」「我慢ができずに尿を漏らしてしまう」などがあります。そして、進行すると、血尿がみられることがあります。

他のがんにも早い段階で自覚症状が出ることは少なく、かなり進行しても無症状の場合があります。しかし、以下のような症状を感じた場合は、早めに受診しましょう。

■肺がん
なかなか治りにくい咳、血痰(けったん)、胸痛、喘鳴(ぜんめい)、息切れ、声がれ

■胃がん
胃の痛み・不快感・違和感、胸焼け、吐き気

■大腸がん
血便、下血、下痢と便秘の繰り返し、便が細い、便が残る感じ、おなかが張る、腹痛、貧血

■肝臓がん
全身のだるさ、おなかの張り、便秘や下痢などの便通異常、黄疸、尿の濃染、こむら返り、むくみ、皮下出血

■すい臓がん
胃や背中の不快感、腹部に違和感

■乳がん
乳房のしこり、腫れ、くぼみ

定期的な「がん検診」で、がんによる死亡を減少

がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させるためには、「がん検診」がお勧めです。しかし、注意すべきは、がん検診は「単に多くのがんを見つけることが目的ではない」ということです。最近は、なんでもかんでも調べようという検診もありますが、あくまでがん検診の基本は、安全で精度高い検査で治療可能ながんを早期に発見して、そのがんによる死亡を減少させることです。

最近では、早期に見つけて早期に治療すれば、完全に治るがんも増えてきています。ただし、かかりつけの先生がいるから安心というわけではありません。かかりつけ医は症状があった場合、検査を進めますが、無症状の患者のがんを定期的に調べることは、保険診療の制度ではできないのです。症状の出る前に見つけるためにも、定期的ながん検診を受けましょう。

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