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有期雇用を最長10年に。期待できる効果

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高収入かつ高度な専門的知識等を有する有期契約労働者等が対象

有期雇用を最長10年に。期待できる効果

厚生労働省の労働政策審議会が「有期労働契約の無期転換ルールの特例等」について建議を行い、平成26年2月14日に公表。これを受けて、各社報道が「有期雇用、契約期間10年に」と一斉に取りあげました。今回の建議では、国家戦略特別区域法附則第2条において、「高収入かつ高度な専門的知識等を有する有期契約労働者等」を対象に検討されました。これらの有期労働契約の労働者だけが対象になったのは、雇用の安定性が損なわれるリスクが少ないと考えられるからです。そのうえで、専門的な知識を有する有期雇用労働者などの能力維持・向上および活用を図ることを目的とした、「特別措置法案要綱の今年度通常国会提出」を目指しています。

重要なのは、特別措置法案要綱が対象にしている労働者に該当する要件です。期間限定プロジェクトでも「高度な専門的知識等」を求められ、それに従事するために必要な資格や技術、また、年収要件などをクリアする者とされています(労基法14条1項1号及び平成15年厚生労働省告示356号に基づく基準)。

該当する有期雇用労働者にとってのメリットとデメリット

該当する有期雇用労働者にとっては、契約期間が上限5年から10年になることで、「厳しい解雇規制が適用される」「無期雇用労働者ほどの雇用保障とはいかないまでも、少なくとも雇用保障がより長く見込める可能性が広がる」といったメリットがあります。さらに、要件によっては、無期転換も実現する可能性が出てきたことになります。

また、より長期のプロジェクト業務を遂行することも可能になることが考えられます。この点は、単なる有期雇用労働者と異なり、「高度な知識等」の要件を満たす労働者という要件が重視される点です。専門性の高い業務への活用を見込んでの雇用であることを考えると、プロジェクト完了までの雇用も期待されるところです。

一方で、一つ一つは労働契約に過ぎず、一回の契約期間や更新回数などについては、企業の任意的要素・条件・雇用環境に左右される部分となります。それゆえ、契約期間の延長を過度に期待すると、要綱が示唆するほど「雇用の安定が見込めるわけではない」とも考えられます。

労働契約に厳格さが求められ、紛争リスクの軽減に

しかし、「無期雇用申込権発生までの期間を明確にすること」、そして特例の対象となる業務以外の業務に従事する場合は「通常の無期転換ルールに従うことになる」など、有期労働契約の運用が明確になるため、企業が積極的に雇用の安定を図る動きを示すと考えられ、労働者にとって働きやすくなることが期待されます。

結果として、業務範囲の明示など労働契約締結・更新時、労働条件明示など労働契約上の基本手続の厳格さが求められ、紛争リスクの軽減につながると考えられます。

労務全般の助言と支援、リスク予防と対策を得意とする特定社労士

亀岡亜己雄さん(首都圏中央社労士事務所)

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