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花粉症、温める生薬は逆効果も

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pm2.5も加わり、花粉症の健康に対する影響が増加

花粉症、温める生薬は逆効果も

花粉症は、花粉が鼻や目の粘膜にくっついて、鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどを引き起こす症候群です。特に春はスギやヒノキの花粉がたくさん飛散するため、多くの人が花粉症に苦しめられます。

このところ増加しているpm2.5は、花粉の表面を傷つけて破裂させ、内部の非常に細かいアレルゲン物質を放出させるという研究結果もあるようです。この粒子は花粉より細かいため肺の奥や血管にも入りやすくなるため、「今年から花粉症がひどくなった」「肺や喉に違和感があり咳が止まらない」といった人が増えているように感じます。このようなことから、花粉症の健康に対する影響は年々高まっているといえるかもしれません。

アレルギー反応の場である粘膜は、胃腸の働きに大きく関係

西洋医学では多くの場合、対処療法として抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、重症の場合はステロイドなどが使用されます。東洋医学では、春の花粉を「邪」という概念でとらえています。呼吸とともに鼻や口を通って肺に侵入してくる「邪」を、はじき返してブロックするために「邪」を発散して冷やすような薬草を組み合わせます。

また、アレルギー反応の場である粘膜は、東洋医学では胃腸の働きに大きく関係していると考えられています。そのため花粉が飛ばない季節に暴飲暴食したり、ストレスで胃を痛めたり、体を冷やしたりしていると、花粉が飛ぶ時期になるとアレルギーの症状がひどくなってしまいます。それゆえ、花粉が飛ぶ前から漢方薬を内服するなどして、しっかりと胃腸の調子を整えておく必要があります。

温めて発散させる生薬は、炎症をひどくしてしまう副作用も

花粉が飛散するようになったら、体質に応じて薬の調合を変えて胃腸の働きを高めるとともに、入ってくる花粉をブロックするような薬の組み合わせを同時に使う必要があります。目の症状が多いのか、鼻の症状が多いのか、鼻水が滝のように出るのか、鼻がつまるのかなどによっても、調合する薬草は違ってきます。

ちまたでは「小青竜湯」がよく処方されていますが、これに含まれる「麻黄」や「桂枝」といった薬草は、温めて発散させる作用があるため、春の花粉には適さない場合があります。この薬草の組み合わせは、一次的に症状は軽減します。しかし、温める作用によって水分が乾燥して粘膜に熱をこもらせてしまい、かえって炎症をひどくしてしまう可能性があるのです。科学的にみると、「麻黄」に含まれるエフェドリンは、交感神経のα受容体を刺激して血管を収縮する作用があります。最近、この「麻黄」と同じα刺激作用をもつ点鼻薬の継続使用で、「鼻炎がひどくなる」といった副作用が報告されています。このため、温めて発散させる生薬は注意して用いる必要があるでしょう。

東洋医学では、症状によって薬を配合するのではなく、体質によって薬の配合を決めます。したがって、患者の状態によっては冷やす治療ではなく、温めて治すケースもあるため、一概に「どちらの治療法が良い」とは言い切れない部分はあります。漢方の診察で重要なのは、脈や舌、手足のツボ、おなかの状態などを詳しく調べることで、体全体の状態を見極めることです。漢方薬にも副作用はありますから、自己判断で服用せずに専門的な診察技術と知識を持った医師に相談してください。

漢方と鍼灸で様々な症状、体質を改善させるプロ

黒岩弦矢さん(トカゲ堂医院)

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