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実は「口の中のがん」が増加中

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患者数は子宮頸がんを上回る。10年後には今の1.5倍に

実は「口の中のがん」が増加中

TPP交渉が重要な局面を迎えていた昨年末、交渉を担っていた甘利経済再生担当大臣が「舌がん」になったニュースは記憶に新しいところです。幸いなことに大事には至らなかったようですが、実は「口の中のがん=口腔がん(口腔癌)」の患者は増加傾向にあります。

東日本大震災の直後、テレビCMが自粛され、公益社団法人ACジャパンの「子宮頸がん予防のワクチン接種を勧めるCM」が繰り返し流れました。さまざまな意味で話題になりましたが、何度も啓蒙した成果なのか、すでに40万人もの人が予防接種を受けたそうです。近い将来、子宮頸がんの減少が期待されます。その一方で、我が国で口腔がんの患者が右肩上がりに増え続けていることは心配です。今のところ、がん患者の中で口腔がんの占める割合は全体の1~2%にすぎませんが、統計的に見ると、決して他人事ではない怖さがわかります。

■患者数ではすでに子宮頸がんを上回っている。
■我が国では年間約7,000人が口腔がんに
■30年前と比較すると、約3倍に増加

さらに、研究機関の予測では、10年後には今の1.5倍の1万2千人以上が口腔がんに罹患するとされています。

舌がんの見極めのポイント

口腔がんは、できる場所によって「口唇(こうしん)がん」「舌がん」「口底(こうてい)がん」「歯肉(しにく)がん」などに区別されますが、 中でも「舌がん」の発生頻度がもっとも高く、口腔がんの約40%を占めるとされています。舌がんの場合、胃がんや大腸がんなどと異なり、胃カメラやファイバースコープなどを使用しなくても、直接目で見て確認できるため、その特徴を理解していれば「見つけやすいがん」と言えます。

■見た目の特徴:ただれる、出血するなど、ぐちゃぐちゃして「汚い感じ」。
■触った感じ:中が硬く、コリコリとした「しこり」があり、時に痛みをともなう。
■舌を動かすと引きつるような感じがある。

以上のような症状がある場合は要注意です。病期が進むにつれて引きつる感は強くなり、舌が動きにくくなるため、発音や嚥下(飲み込み)が障害されるほか、首周りのリンパ節に転移し腫れたりします。さらに進行すると、肺など他の臓器にも転移し、全身的な症状を起こすようになります。

「口内炎が治らない」など異変を感じたらすぐに受診を

がんの治療は、病巣の場所や進行度、細胞の性格などを総合的に判断して、手術、放射線治療、抗がん剤などの化学療法を組み合わせて治療します。 治療成績は施設によって多少異なりますが、初期であれば5年生存率は約80%です。初期のものほど転移のリスクは少なく、治療成績も良好ですので、早期に受診することが大切です。

歯の治療で歯科医院を受診した際に偶然見つかることもありますが、先述のような症状がある場合や、なかなか治らない口内炎のようなできものがある場合は、早めに口腔外科や耳鼻咽喉科を受診しましょう。素人判断は禁物です。甘利大臣のように、「口内炎だと思っていたら、初期の舌がんであった」というケースが少なくないのですから。

飯田裕

歯科インプラント治療のエキスパート

歯科医

飯田裕さん(つくばオーラルケアクリニック)

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