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待機児童ゼロ。横浜市の取り組み

待機児童ゼロを実現した横浜市の子育て環境の変化

待機児童ゼロ。横浜市の取り組み

平成25年4月、横浜市は待機児童数をゼロにし、全国的な注目を集めました。一方で、入園希望者の増加により、同年10月には231人の待機児童数が発生しました。評判が良くなれば入園希望者が増え、「いたちごっこ」ではないかと問われる中、林文子市長は「待機児童ゼロは私の信念」と発言。改善への強い意欲を見せています。

そこで、待機児童ゼロを実現した横浜市における、実際の子育て環境の変化をお伝えします。平成22年の横浜市の待機児童数は1552人、全国でワースト1位でした。林市長が就任後、平成22年度に待機児童対策を市の重点施策にして以降、変化が現れます。不動産物件と保育事業者のマッチングなどの施策により、保育園が急増。また、預かり保育を実施する幼稚園の増加や、駅から離れた保育園までの送迎サービスの開始等により多様な保育サービスも進みました。保育コンシェルジュからは、認可保育園の空き情報だけでなく横浜保育室や無認可保育園、幼稚園の預かり保育、保育ママ等、さまざまな保育施設の情報が得られるようになったのです。

「お客様のため」の姿勢が横浜市を変えた

最も変わったのは、「お客様が困っていたら、最後まで対応する」をモットーに、希望の園に入園できなかった人に、その後の状況を電話でヒアリングするなどの対応がスタートしたことです。「希望の保育園は定員いっぱいです。入園は難しいですね」だけで終わらず、その後のサポートがあるということが横浜市の子育て支援の特徴ではないでしょうか。

また、市役所や区役所では、「こんにちは」「お待たせしました」という声が以前よりも多く聞かれ、窓口への誘導がスムーズになりました。市民の満足度調査も実施され、「市民のための役所づくり」が定着しつつあります。

待機児童ゼロが、住みやすい街づくりへの期待感につながる

働く母親だけでなく、子育てに専念している母親も利用できる子育て支援拠点施設は、平成17年の12か所から、現在は19か所まで増えています。港北ニュータウンやみなとみらい地区には、子供連れで楽しめる商業施設などが多くあり、エレベーターや遊歩道の設置でベビーカーの子供連れにも優しい街づくりがされています。

さらに、横浜市の重点施策は待機児童のことだけではなく、学童保育の拡充や、高齢者や障害者の自立支援など、あらゆる立場の市民支援に関わっています。母親に優しい街は、さまざまな立場の人にとっても優しい街でもあるといえるでしょう。

待機児童ゼロを達成できたのは、強い信念と新しい施策を次々と試した結果によるものでした。今後、待機児童が発生したとしても、さらに新しい施策によって乗り越え、より住みやすい街と変貌を遂げる期待につながっています。

元総合職ママの就職、家庭との両立を実現するキャリアカウンセラー

島谷美奈子さん(パーソナルライフデザイナー島谷美奈子)

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