子の引きこもり高齢化、親がすべき備え

 | ファイナンシャルプランナー
明石 久美

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対策として、任意後見契約などの締結と遺言書の作成を

子の引きこもり高齢化、親の死への備え親が年齢を重ねれば、病気やケガ、介護、認知症などのリスクが高まります。そのとき、配偶者がすでに死亡していて、引きこもりの子どもと二人暮らしという場合や、引きこもりの子以外の子どもが離れたところに住んでいるなどで、支援が期待できないこともあるでしょう。例えば、認知症は、本人は気づかないものです。また、親の認知症に引きこもりの子どもが気づいたとしても、どのように対処すればいいのかわからずに困ることでしょう。そして、親が死亡した後の葬儀や納骨、相続手続きなどについても、引きこもりの子どもが行えないケースも考えらえます。そのようなときのために、親自身の認知症対策と死亡後の備えをしておくことが必要です。

代表的なものとしては、「見守り契約」や「財産管理等委任契約(任意代理契約)」、「任意後見契約」、「死後事務委任契約」、「遺言書」です。認知症になる前の定期的な連絡などによる見守りは「見守り契約」で、日常的な金銭管理や事務手続きなどは「財産管理等委任契約」で行ってもらいます。認知症になったときには「任意後見契約」、そして、葬儀や納骨、遺品整理などは「死後事務委任契約」で。遺産分割など財産の処分に関しては「遺言書」で行ってもらいます。

ただし、これらは親本人に対しての契約です。親が引きこもりの子の生活に困らないように住宅や金融資産を準備していたとしても、親の死後、それを誰が管理するのかという問題が残ります。そのような場合には、「財産管理等委任契約」で誰かに依頼しておくこともできます。しかし、契約で何でも依頼できるわけではありません。また、引き受ける側は、必ずしも「引きこもり」の専門家ではありません。その子どもとコミュニケーションがとれない場合、現実的に支援することが難しいこともあるでしょう。

身内に引き受け手がいれば、対策として有効な民事信託

もう一つは、民事信託の活用です。ただ、民事信託は、営利を目的としている人には依頼することができないことと、長い期間託すことになるため、親戚などの身内に引き受けてもらうことが前提です。財産が現金だけなら、信託銀行に依頼することもできますが、不動産がある場合には信託銀行に依頼することができません。

仮に、姪に依頼するとします。親が信託する人(委託者)で、姪が信託される人(受託者)です。姪に金銭や土地などの信託財産(全財産でなく一定の財産でも良い)を管理・運営などしてもらい、親が元気なうちは親が受け取る人(受益者)となり、親が死亡した後は子を受益者とすることもできます。親が元気なうちでも子を受益者とすることもできます。代表的な民事信託には、遺言代用信託や福祉型信託などがありますが、活用を検討するなら、よく理解したうえで利用しなければなりません。また、契約するときには公正証書にしておく方が安心です。

頼れる身内がいる場合と、全くいない場合では、必要な対策は異なります。また、依頼したことで引きこもりの子以外の子が不利益になることもあります。それゆえ、トラブルにならないよう慎重に考えたうえで内容を決め、信頼できる相手に依頼することが大切といえます。

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