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東大、推薦入試導入。なぜ今?

多様な学生構成の実現を目指して

東大、推薦入試導入。なぜ今?

東京大学が2016年度から、一部で推薦入試を導入すると発表しました。推薦入試・AO入試の弊害である学力低下が叫ばれている昨今、なぜ今になって推薦入試を行うことになったのでしょう。東京大学の濱田純一総長は、行動シナリオFOREST2015で次のような目標を掲げています。

『多様な学生構成の実現により、相互に切磋琢磨する教育環境をつくる。
【例:2020 年までに女性比率 30%、留学生比率 12%の達成を目指す。】 』

現状では、東京大学の2009年学部女子比率は19%。これに対し、全国の大学の平均は41.6%であり、約半分の数値です。現に東大の合格者数トップ10は開成、筑駒、灘などの男子校がほとんどを占めており、女子高や共学は数えるほどしかありません。

また、留学生の比率も学部で1.7%と、シンガポール国立大学の21%、北京大学の7%と比べても非常に低い値となっています。外国人教員数、英語による授業などの国際化指数も低く、結果として東大の大学ランキング(タイムズ・ハイヤーエデュケーション誌による)は、2013年で27位、2014年で23位と、順位は上げているものの英米の大学に比べて低い順位となっています。今回の入試方法の変更は、上記のような世界からの評価に危機感を募らせた結果といえるでしょう。

従来の入試では獲得できなかった優秀な学生に門戸を開放

では、東大の推薦入試の方法はどのようなものでしょうか。推薦入試の募集人員は100名で、各高校から男女1名ずつ応募可能。後期日程を廃止し、代わりに書類と面接、センター試験をもとに選考して前期日程が始まる前に合格者が発表されます。一番の注目点は、「十分な学力を有し、特定分野や活動において卓越した能力を持つ人物」という、求められる学生像です。日本の有名進学校は、センター試験を含む筆記試験の突破を目的とした授業を行い、受験前の授業は過去問演習ばかりになります。東大の推薦入試は、このような従来の「筆記試験突破に特化した学生」ではなく、「従来の入学生と同程度の学力を有し、かつ特定分野では他者の追随を許さない学生」を求めるものでしょう。

これは、従来の一般入試よりも、受験のハードルが上がることを意味します。センター試験は従来通りに課されますので、一芸に秀でるだけでは合格できるわけではありません。私の塾でも「中学2年生で英検準1級を取得し、物理に非常に興味があり、高度な実験も行っているが、筆記試験にはそこまで自信がない」という生徒を指導しています。そんな彼も、今までの東大入試であれば尻込みしたでしょう。ですが、先日、推薦入試の話をしたら「それなら自分でもできるかも…」とやる気を出していました。このような中高生は全国に何人もいるはずです。この推薦入試には賛否両論があり、中にはかなり厳しく批判する人もいますが、従来の入試では獲得できなかった優秀な学生に門戸を開くことは確実です。「我こそは!」という受験生がたくさん集まることを期待しています。

子どものやる気と力を引き出す塾校長

斉藤秀雄さん(葛西の学び舎 斉学舎)

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