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地震に強い家を手に入れるには

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建築基準法だけでは安心できない

地震に強い家を手に入れるには

最近はマスコミ報道で、南海トラフ地震や直下型地震のことが頻繁に取り上げられるためか、耐震性能に関する問い合わせをよく受けます。「我が家は震度どれくらいまで耐えられるのでしょうか?」「新築住宅は震度いくらまで耐えられますか?」といった内容です。

実は、この問いに、建築技術者で明快に答えられる人はいません。理由は簡単で、建築基準法では、耐震性能を規定するのに、震度を用いていないためです。震度は被害の状況に応じて気象庁が公表しますが、同じ震度7でも、阪神大震災の震度7と、東日本大震災の震度7では、建物に与えるダメージが異なりました。ですので、「あくまでも目安ですが・・・」といった表現で回答することになるのです。

また、建築基準法では最低の基準しか定められていません。最低の基準とは、地震で建物が壊れないことを保証しているのではなく、建物が壊れても人の命は守れるといった程度の基準を意味します。言い換えれば、最低の基準さえ守れば、建物が倒壊しても施工者に責任はないと言っている様なものです。そして、建物は築後数十年にわたって存在しますが、建築基準法では、建物が完成した直後の耐震性能は規定しているものの、建物が経年劣化した場合の規定はないのです。つまり、建築基準法をギリギリでクリアするような建物は経年変化で、地震に耐えられるかどうかわからない建物になってしまうことを意味しています。

耐震性能を具体的にリクエストすべき

平成14年から住宅性能表示制度という法律があります。強制法ではありませんので、全ての住宅が活用しているわけではないのですが、この法律には耐震等級があり、耐震等級1は建築基準法と同等の耐力を規定し、耐震等級2は建築基準法の1.25倍、耐震等級3は建築基準法の1.5倍の耐力を確保するように定められています。住宅性能表示制度を活用すれば、建築構造の専門知識が無くても、数値で家の強さをリクエストすることが可能になっています。

また、法律ではありませんが、リフォームでは(財)日本建築防災協会により耐震診断法が定められ、市町村の耐震改修工事の指針となっています。そこでは、耐震評点が定められ、評点1.0で概ね安全。評点1.5で安全と規定されています。

建築の構造は、素人には難しく、これまでは「頑丈な家が欲しい」とか「地震に強い家が欲しい」といった、漠然とした方法でしか家の性能を伝えることができませんでした。そのことにより、建築主と施工者の意識の差が、建築紛争の火種にもなっていたのです。現在は住宅性能表示制度や耐震診断法が定められているのですから、耐震等級や耐震評点を示して、具体的に建物の耐震性能をリクエストするようにしましょう。

福味健治

建築主の思いを形にする注文住宅の専門家

一級建築士

福味健治さん(岡田一級建築士事務所)

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