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ダンス規制緩和の裏にひそむ懸念

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ダンスクラブが違法薬物や売春等の温床になっているとの認識も

ダンス規制緩和の裏にひそむ懸念

現在、日本の風営法では、いわゆる「ダンスクラブ」の午後11時以降の営業は認められないことになっています。また、当局も、ダンスクラブと反社会的勢力との関連が強く、違法薬物や売春等の温床になっているとの認識の下、ダンスクラブに対する摘発を強化していた時期があります。私の職務上の経験でも、担当した刑事事件・少年事件において、例えば「大麻の取引現場がクラブだった」ということは何度かありますので、このような当局の認識は、あながち間違っていないのだろうと思っています。

規制改革会議は、ダンスの規制緩和を優先的に検討する旨を発表

しかし、ダンスはもはや社会的に認められた文化であり、また、重要な自己表現の方法のひとつであること自体はほとんど異論のないところであって、そもそも風営法での規制に馴染まないのではないか、という声も根強いところです。そして、そのような声を受けて、政府の諮問機関である規制改革会議は、先月、ダンスに関する風営法の規制緩和について優先的に検討する旨を発表しました。表現の自由は何にも優る価値を持つ人権であり、安易な規制は許されるものではありません。その意味では、今後、規制緩和の方向で議論がなされるならば、それは無条件に歓迎すべきことのようにも思えます。

経済界優先の規制緩和まっしぐらにならないように注視

もっとも、注意しなくてはならないのは、「ダンスという表現行為に制限をどこまで加えられるか」という観点から問題提起されたはずのこの議論が、いつの間にか「法律でビジネスモデルに制限を加えるのはけしからん」という方向に流れていってしまうことです。ダンスを愛する人々の、ダンスを守りたいという気持ちを踏み台にして、経済界優先の規制緩和まっしぐら、ということにならないよう、国民全体で注視していくことが必要だと思います。

個人と中小企業を支援する法律のプロ

佐々木伸さん(平野・佐々木法律事務所)

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