社会的ひきこもり、求められる心のケア

 | 心理カウンセラー
北見 由紀

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精神疾患や精神遅滞とは区別される「社会的ひきこもり」

社会的ひきこもり、求められる心のケア一般的に「引きこもり」とは、「①家族以外の人間関係から孤立して自宅中心の生活を送っている」「②就学・就労などの社会参加活動ができない・していない」「①②の状態が6カ月以上続いている」と定義されています。この場合、精神疾患や精神遅滞の人とは区別されているため「社会的引きこもり」と呼ばれています。中心的な症状は、自室にこもって家族との接触を極力避け、無気力や空虚感を伴うことです。

引きこもりへの引き金となった出来事は人それぞれです。一過性の不登校がこじれて長引いたもの、大学受験や就活での失敗、職場での人間関係や仕事のミスなどで、最近では年齢の高い人の引きこもりも増えています。

本人の気持ちを置き去りにされてきたことが要因に

学校や社会の中ではストレスにさらされ、傷つくことが当然あります。確かに、他人を平気で傷つけるような行為をする人たちが良くないのですが、傷ついたまま人と関わることが怖くなったり、引きこもりに陥ってしまったりする人の要因のひとつに家庭環境が挙げられます。「成績が悪いのは、自分がなまけているからだ」「そんな弱気でどうする」「仕事がすぐに嫌になるのは社会人として失格」「親に恥をかかせるな」など、両親もしくは父母のどちらかが「こうでなくてはならない」という世間体を第一とする価値観が強い中で育ってきたという傾向があります。

例えば、父が権威的で、それに反論したくても黙っているという家庭、両親ともに「ことを荒立てない方がいい」と我慢を選択させる家庭など、いずれにしても本人の気持ちが置き去りにされ、「つらい、逃げたい」というような、一見ネガティブに思える感情を味わうことを許されてこなかった人が多いのです。

親が子どもの弱さを受け止めることで、次の行動へとつながる

引きこもりの人は、傷ついて社会の中での居場所をなくした上に、家族の中でも肩身が狭いため「自分を無価値な人間」と思いがちです。家族を避けたり、口をきかなかったりするのは「こんな弱い自分では顔向けできない」と自己否定しているからです。

親の方は、「子どもの弱さを認めてしまうと、この子がダメになってしまうのではないか」と思って叱咤激励するのですが、まず「うまくできなくてもいいんだ。弱いところがあってもいいんだ」という気持ちで受け止めてやることが必要です。もし本当に仕事を辞めたとしても、受け止めてくれる人がいることで帰属欲求が満たされ、自発的に次の行動を起こしていきます。子どもの嫌いなものは、「お説教」と「つらそうな親の顔」です。明るく声をかけてください。安心して休める場所を提供してあげてください。

引きこもりのケアは、親の面談を中心に行っていくことが大切

家庭内でのコミュニケーションがうまくとれず、引きこもりが長引き「どうしていいのかわからない」という親はたくさんいます。引きこもりの支援には、保健所や精神福祉センターなどの公的な相談窓口、NPOの親の会、民間施設など、さまざまな形態があるので、状況に合わせて選んでいくことをおすすめします。その際、住み込みの民間施設などは実態を把握したうえで、本人が納得してから入所させてください。無理に入所させると「親から見捨てられた」と誤解が生じることがあるからです。

個人相談には、本人との面接、家族面接、家庭訪問などがあります。引きこもりは「親の生きづらさ」の反映であることが多いので、まずは親の面談を中心に行っていくことが良いでしょう。

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