奨学金の誤解、本当の問題点は?

 | ファイナンシャルプランナー
北村 きよみ

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「若年無業者」(ニート)の増加が、奨学金の延滞問題に

奨学金の誤解、本当の問題点は?先日、テレビ番組で「奨学金が返せない!?」というタイトルで、奨学金の延滞に関する特集が放送されました。番組の中では、奨学金を返せない問題について「利息が高すぎるのでは」「組織の運営をコンパクトに」といった意見が出されていました。これに対し、利用者の最も多い日本学生支援機構は、制度に対する誤解や利息、返済額に関する説明をホームページ上に載せています。

では、実際に奨学金は問題なのでしょうか?日本学生機構によると、平成24年度末現在の状況は返還を要する者の債権(期日到来分のみ)322万9 000件、返還している者289万5 000人、1日以上の延滞債権33万4000件。そのうち3カ月以上の延滞債権は、19万4 000件と発表しています。3カ月以上延滞している者の割合は、全件数の6%となっています。

文部科学省平成24年度学校基本調査(確定値)によると、平成24年度に大学(学部)を卒業した者のうち、「進学も就職もしていない者」が15.5%となっています。そのうち、進学準備中でも就職準備中でもない者だけの割合を考えると6%となります。つまり、大学を出たものの就職先が見つからず、進学も就職もあきらめてしまった「若年無業者」(いわゆるニート)の増加が、奨学金の延滞問題につながると推測されます。

また同調査では、就職した者のうち「安定的な雇用に就いていない者」が卒業者を占める割合は22.9%であるとの結果が出ています(「正規の職員等でない者(3.9%)」と「一時的な仕事に就いた者(3.5%)」と「進学も就職もしてない者(15.5%)」の合計)。大学を卒業した者のうち、5分の1強が安定的な仕事に就けないという状況は、奨学金の延滞問題につながるばかりではなく、少ない収入から奨学金の返済をしなくてはならないために、生活苦の状況に陥る可能性があるのです。

親や借りる本人の教育資金や制度に関する知識の低さも問題

親であれば「子どもに幸せな人生を送ってほしい」と思うのは当然のことです。「将来の安定のために大学くらいは行っておかないと」と子ども自身がなんの目的意識もなく、入れそうな大学に奨学金を借りて入学をし、無事に卒業をしたとしても「将来安泰な時代」ではありません。

今の時代、家計の状況で子どもが大学に行くための資金を出すことができない家庭も多いことでしょう。奨学金という名でありながら、学生ローンに近い仕組みであることは、今後検討の余地があると思いますが「子どもが本気で学びたい」と思ったときに奨学金制度のメリットは大きなものがあります。

親であれば、子どもが生まれた瞬間から「大学に進学するかもしれない」ということは予測ができていたこと。その時から、計画的に子どもの教育資金を準備していたならば、子どもに背負わせる奨学金の返済(借金)は少なくて済んだはずです。奨学金延滞の問題には、制度そのものと言うよりも、親や借りる本人の教育資金や制度に関する知識の低さも挙げられるのではないでしょか。親の責任として、子どもの教育方針を考え、計画的に教育資金を貯めることはもちろんですが、子どもが自ら考え自ら選択できる力をつけることこそが「奨学金延滞の問題」、さらには「若年無業者」の問題を解決する道だと思います。

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