徘徊高齢者への対策で必要なこと

 | 社会福祉士
中原 崇

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高齢化率30%を超える大牟田市では市民をあげて保護活動を実施

徘徊高齢者への対策で必要なこと現在、65歳以上の認知症有病者数は462万人(2012年度)と推計されています。認知症は徘徊を伴うことがあり、徘徊者への対応は地域課題の一つでもあります。

このような中、高齢化率が30%を超える大牟田市(福岡県)では、徘徊した認知症高齢者の特徴をメールなどで民生委員や校区役員に伝え、市民をあげて保護活動を行っています。10年目を迎えたこの活動は「大牟田方式」とも呼ばれ、全国の104自治体に拡大。市民の発見で、高齢者が一命を取り留めたケースも出ているそうです。

高齢者の在宅福祉推進が叫ばれてかなりの年月がたちますが、大牟田市の取り組みは「必要な援助を受けながら、安心して在宅生活を送る」という在宅福祉の理念にもマッチし、なおかつ、公的サービスでは対応できない課題を「住民の力によって補っている」という、まさに理想的なモデルといえます。

徘徊高齢者事故を「想定されうる事故」として「保険」で対応

ただ、世間では、徘徊した高齢者が起こした踏切事故の損害賠償を家族に命じる判決が出るなど、徘徊者が起因となった事故への賠償責任問題が取り上げられています。家族がどれだけ注意を払っていても、あるいは大牟田市のような取り組みが行われても、残念ながら徘徊高齢者が事故を引き起こすことは避けられません。そして、事故が起きれば損害を被る人が出てくるのも必然事項です。

地域による見守りや徘徊高齢者に対しての理解が少しずつ広がった中、今後、考えていかねばならないのは、①「徘徊高齢者が事故を引き起すのは想定されうること」という認識共有 ②事故が起こった際の損害補償、ではないでしょうか。想定される事故への補償で、真っ先に思い浮かぶのは保険です。病気、失業、障害、配偶者の死、老後など、私たちは「想定されうる事故」に対して医療保険や雇用保険、年金保険などの「保険」で万が一に備えています。それと同様に、徘徊高齢者による事故も「想定されうる事故」として取り上げ、「保険」で対応するのも一つの方法でしょう。

何かしらの形で損害補償をする制度の確立が必要

既存の介護保険は、寝たきりや心身機能・認知力の低下といった「想定されうる事故」に対して、入所サービスや在宅サービスなど、幅広い領域のカバーをしています。しかし、「想定されうる事故」は時代と共に変化し、寝たきりや心身機能の低下といった事故だけに留まらない状況へと移り変わろうとしています。

徘徊高齢者が起因となる事故は「想定される事故」です。介護保険の給付要件に盛り込むのがベストとは一概に言えませんが、何かしらの形で損害補償をする制度の確立が徘徊高齢者における対応として必要だと考えます。

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