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大学進学率の地域格差解消へ「MOOC」に集まる期待

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都道府県別大学進学率の格差は20年間で2倍近く拡大

大学進学率

大学進学率が過去20年で20ポイント以上も上昇して5割を超え、全国の大学の入学定員総数も入学希望者総数を上回る状況となりました。実質的に大学全入時代を迎えたと言われています。その反面、大学進学率が7割を超える東京を筆頭に神奈川、京都、兵庫で6割を超える一方、青森、岩手、鹿児島、宮崎、大分の5県は4割に満たないなど、都道府県別大学進学率の格差は20年間で2倍近く拡大しています。

この背景には、人口減少時代による地方の過疎化と都市部への人口集中があります。また、経営難で閉鎖する地方大学・学部が増えていると同時に、経済の低迷による所得格差が拡がる中、都市部での生活費・下宿代を負担できない家庭が増加しているというわけです。

奨学金制度や補助金拡充は一時的な対症療法にしかならない

全国平均では実質、大学全入状況にありながら、地方では経済的理由で大学へ進学したくてもできない生徒が増えている矛盾を解決するには、どうしたら良いのでしょうか。

すぐに思い浮かぶのは、奨学金制度の充実や地方大学への補助金拡充など、従来型のバラ撒き政策ですが、これらは一時的な対症療法であり、根本的な解決策にはなりません。

日本でも米国から数年遅れで「JMOOC」が始まる

居住場所に関わらず誰もが安価で良質な高等教育を受けられるようにするには、アメリカのようにインターネット上で誰もが受講できる大規模な開かれた講義「MOOC」を質量ともに充実させることです。日本でもアメリカから数年遅れで、今年ようやく「JMOOC」が始まりました。

これが順調に拡大すれば、勉強する意欲のある人は誰でも、何時でも、何処でも、好きなことをマイペースに勉強することが可能になります。

「MOOC」の導入で新卒一括採用という制度は消滅へ

同時に、就職で採用する側の企業が、大学の卒業証書ではなく、指定した講座を修了することを採用の前提条件とするよう、抜本的に考え方を変えることが必要です。企業側が職種によって不可欠なスキルを獲得するために必要となる講座を体系的に指定し、入社希望者はそれに沿って「MOOC」を受講・修了するのです。また、自分の興味関心に沿った講座を自ら選んで受講した生徒も、その延長線上で就職先を選定できるようになれば、入学から4年後の4月に新卒一括採用という不思議な制度も自然と消滅するでしょう。

実際、アメリカの大手電話会社は、「MOOC」の一つである「Udacity」と協力し、ソフト開発に関する一連の講座を今秋から開始。コース修了者には、同社でのインターンポストが提供されることになっています。近い将来、「MOOC」で特定の講座を修了することが入社の前提条件となるだけでなく、入社後の昇進にも適用されるようになるかもしれません。最近になってリクルートが「Udacity」に出資したのも、こうした流れを見越してのことかもしれません。

21世紀型個別+自律教育のプロモーター

小松健司さん(21世紀教育応援団 アイパル)

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