年収早見表を公開したユニクロの覚悟

 | 社会保険労務士
亀岡 亜己雄

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ユニクロが自社のホームページで社員の年収を公開

ユニクロ年収早見表「ユニクロ」を展開している株式会社ファーストリテイリングが、自社のホームページでグレード別の年収を一覧表の形式で公開しています。一般的に、社員採用への応募者に対しては初任給を明示的に公開するのみで、ジョブグレードによる将来年収の変遷を明示的に公開する企業はないため、今回のユニクロの年収一覧表公開が社会的に話題になっていることも頷けます。

注目すべきは、年収一覧表において最低年収と最高年収を公開していることで、同じグレードであっても実力によって差が出ることを示し、大きな刺激を与えていることでしょう。その点から、この年収一覧表は、単に年収の推移や変遷の目安を端的に示しているに留まるものではないと考えた方が良さそうです。

経営理念が、給与制度に反映されている

同社は、企業活動全体をグローバル水準に変えようとしています。その経営理念が、給与制度に反映されていると考えられます。年収一覧表では、年齢や役職の記載がありますが、この要素は重要ではなく、年齢は全く関係しない組み立てのようですから、参考程度に捉えておくべきでしょう。

現にサイト上では、29歳で役員昇格した例があることを公表しています。同社は、世界的に多国籍の労働者を雇用していますが、どの国の社員が働いても、グローバルな水準で企業変革を成し遂げる者に、そのミッション達成に見合う報酬を設定していることを示しています。その狙いは、実力主義のカラーが出ている給与制度を示すことで、応募の時点でチャレンジ精神あふれるやる気のある人材を集合させることにあると思われます。

企業の揺るぎない姿勢を給与制度で示す

また、世界規模で主体的に考え、使命感達成に向けて自分の力で変えていける人材を集合させることにあるとも言えます。さらには、ユニクロがいかなる人材を求めているのか、誰が見ても明確になっていることで、応募者の迷いを払拭する効果もあるでしょう。

各種ニュース報道によれば、ユニクロは年収一覧表をホームページで公開しているだけではなく、新卒採用時に配布する冊子に掲載し、採用説明会にはパネル掲示しているといいます。こうした姿勢からは、ユニクロが裏も表もない企業であるという、一種のコーポレート・アイデンティティーを示しています。企業の揺るぎない姿勢を給与制度においても示す姿勢は、同社がいかに世界ナンバーワン企業を目指しているかを感じ取ることがでます。

ここまでの戦略・戦術に踏み切った今後に注目が集まる

その点では、同業他社には脅威と映るかもしれません。通常、企業は賃金の将来水準を一般公開しにくいと言われます。5年後、10年後に経営がいかなる状況になっているか採用側は保障できにくいうえに、労働者の実力を特定できない状況下では、明示した評価金額の支給を約束できないというテーマも関係してくるからです。

また、賃金支給額は、賃金評価テーブルの変更により変遷することも想定しなければなりません。こうした諸事情を踏まえれば、ユニクロがグローバルに年収一覧表を公表したことは、同社の使命感に満ちた覚悟を感じるところです。使命感に満ちた経営姿勢がなければ、ここまでの戦略・戦術に踏み切れないでしょう。今後に注目したいと思います。

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