海外が絶賛も…ベビーカー論争で問われる日本の精神文化

 | マナー講師
平松 幹夫

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電車内でのベビーカーについて論争が白熱

海外が絶賛も…ベビーカー論争で問われる日本の精神文化日本民営鉄道協会が発表した「駅と電車内の迷惑行為ランキング」で、「混雑した車内へのベビーカー乗車」が前年度比1.6ポイント増で7位になり、ベビーカー論争が再び白熱しています。15年ほど前、列車内でベビーカーが認められるようになった時には、使用する側も「混み合っている時には利用しない」など、守るべきルールを定めていたようです。しかし、それがいつでも「お構いなし」になり、再度トラブルの要因になったのでしょう。

鉄道会社も電車内でのベビーカー利用に配慮するよう呼びかけ、国土交通省も交通機関でのベビーカーデザインを決定したようですが、理解が広まっているとはいえません。現状、肯定派、否定派など、さまざまな意見があってしかりで、「こうあるべきだ」と一方的には決めつけられません。

法律ではない限り「これが正しいマナーだ」と断言できない

そこで、電車内という公共の場でのマナーを考慮しながら考えてみることにします。意外に守られていないのが公共の場でのマナーで、本人は悪気がないのに、知らず知らずのうちに他人に迷惑をかけることが多々あります。

そもそも公共のマナーとは、「公共の場で、知らない者同士が、互いに快適にやり過ごせるためのマナー」です。だからこそ、自分と他者の考え方や立場などが異なれば、法律ではない限り「これが正しいマナーだ」と断言するわけにはいきません。

日本の精神文化の素晴らしさを世界は絶賛

しかし、そこには暗黙のルールや了解というものが存在するはずです。特に、急いでいる時や、混雑している時などは、互いに配慮し合わなければ思わぬトラブルを生じかねません。このような時にマナーの差が出ます。

つまり、ベビーカーを利用する側は、周囲をよく確かめて、他人に迷惑をかけないようにする。それを受け入れる側は、弱者に対して優しく接し、思いやりの心を発揮することが大切だということです。

江戸時代、総人口の10%にも満たない武士には地位や権力や財力があり、自己防衛に重きを置けば良い礼儀作法が存在し、公共の場でのマナーは不必要でした。一方、人口の大多数を占める地位も金もない庶民が、心豊かに生きていくには、常に他者との折り合いが要求され、必然的に公共の場でのマナーが生まれたわけです。

さらに「傘かしげ」「こぶし腰浮かせ」なども、互いに思いやりの心を発揮し合う素敵な江戸しぐさです。そのような遺伝子を持っているのが今の日本人であり、その精神文化の素晴らしさを世界が絶賛しているのも事実です。

迷惑だと思わず、進んで手を差し伸べられる社会の実現へ

ベビーカーの母親は周囲に気を遣い、それを受け入れる側はベビーカーに乗っている小さな子どもを見て、少々窮屈な思いをしてもその愛らしさに思わず微笑み、また、体の不自由な人や高齢者が乗ってくれば、思わず手を貸してあげたくなるのが日本人本来の感性でしょう。

電車内でのベビーカーを迷惑だと思い、終電で眠りこけている人を見ても誰も起こしてあげない世の中では、日本創生どころか、日本の未来に暗雲がたち込めます。迷惑だと思う代わりに、進んで手を差し伸べられる社会にしたいものです。

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