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「高齢者雇用」のヒントはゴルフ場に。活躍するシニアたち

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地域の「求職高齢者」雇用を推進する兵庫県三田市のゴルフ場

「高齢者雇用」のヒントはゴルフ場に。活躍するシニアたち

国の「新成長戦略」では「急速に進展する我が国の少子高齢化に伴う労働力人口の減少を跳ね返し、経済の活力を維持するためには、若者、女性、高年齢者など全ての人が可能な限り社会の支え手となることが必要である」としています。そこで、特に注目されているのが高齢者の雇用です。

私は、大阪・神戸のベッドタウン兵庫県三田市にある開業55年のゴルフ場を経営しています。代表になってまだ3年ですが、人事については10年前から携わってきました。将来の事業承継を見据えて、不景気ではありますが、積極的な人材採用による強固な組織づくりを目指し、その中で、地域の「求職高齢者」が担う役割を考え、雇用を推進しています。

この取り組みが認められ、「地域高齢者の就労機会を創出し生涯現役で働ける職場作りを推進している先進企業」として、「平成25年度高齢者雇用開発コンテスト」にて厚生労働大臣表彰特別賞を受賞することができました。

求職高齢者を雇用し、活用することのメリットはとても多い

求職高齢者の雇用について、どのように考えるでしょうか?

・若者との身体的能力の差が大きい
・身体的能力の低下により怪我の発生率が高くなる
・新技術新知識の習得などで、高齢者各人の能力の差が大きい
・頑固な人が多い
・若返りを図れない

このようなデメリットが、まず思い浮ぶかもしれません。

しかし、求職高齢者を雇用し、活用することによって企業に与えるメリットはたくさんあります。

・人件費を節約できる
・経験に裏づけされた知恵や豊富な人脈など、目に見えない貴重な資源を生かすことができる
・勤労意欲があり、礼儀正しく、勤務態度も良く、信頼できる労働力である

日本の高年齢者層における就業意欲は諸外国に比べても高い水準

第1次ベビーブーム世代である「団塊の世代」が、昨年までに65歳を迎え、仕事をリタイアする人が増えています。それだけでなく、「継続雇用制度」があっても、次世代に重職を譲らざるを得ない状況や労働環境の望まざる変化などにより、65歳を待たずにリタイアしてしまう高齢者も数多くいます。

有能な「求職高齢者」の雇用確保は、ここが狙いどころです。日本の高年齢者層における就業意欲は、諸外国に比べて高い水準を保っています。この就業意欲の源となっているのは、「働くことが生きがい」とする勤労観にあると考えられています。日本の高度成長期を支えた「団塊の世代」、この世代の多くは根っからの「仕事人間」で、生きがいを感じながら長期的に働ける環境を求める傾向が強いのです。事実、内閣府が発表している「高齢者の意識調査」では、85%以上の人が60歳以降も就業を望んでいます。

弊社では、他企業で定年退職した勤労意欲の高い「求職高齢者」をパートタイマーとして積極的に採用してきました。現在までに採用してきた人の職歴を見ると、「オールスター」のような人たちばかり。航空会社、フィルムメーカー、事務用品メーカー、乳製品メーカー、スーパーマーケット、新聞社、国家公務員、電機メーカー海外本部在籍など、そうそうたる職歴を持つ人たちが面接に訪れ、こちらが履歴書を見て腰が引けてしまうほどです。

ターゲットとする求職者の琴線に触れる「何か」を上手く利用

「オールスター」ともいえる高齢者が弊社の求人募集に応募にしてくれるには理由があります。「ゴルフ」です。みんなゴルフが大好きです。「少しでもゴルフに携わっていたい」。そんな思いを強く感じています。それに応えるために、社員が「ゴルフ」をできる機会を増やしました。みんな楽しんでゴルフをしています。もちろん、ゴルフ好きの琴線に触れるように、意図しました。ただゴルフ人口は、日本の全人口のたった7%。その7%うちの兵庫県三田地域に在住する「求職高齢者」だけをターゲットとしたのです。

「求職高齢者」は、趣味などが共通する話の合う仲間や友人をつくるために職場を求めているかもしれません。また、過去の経験による得意分野で職場を求めているかもしれません。ターゲットとする求職者の琴線に触れる「何か」を上手く利用することも、人材募集における重要な要素です。

最後に、大切ことは、求職高齢者の雇用によって、若者の就労機会を奪うことがあってはなりません。若者と中高齢者がうまく融合する職場環境をつくることによって、次代にまで人材がつながる企業となり得ると考えています。求職高齢者の活用は、現状の維持や窮状打開を図るだけでなく、将来を見据えたものでなければならないのです。

谷光高

ゴルフの楽しさを多くの人に伝えるゴルフ場経営者

ゴルフ場経営者

谷光高さん(新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部))

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