五月病とうつは違う?判断の分かれ目

 | 心理カウンセラー
西尾 浩良

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「五月病」は「適応障害」の一種と診断されることもある

五月病とうつは違う?判断の分かれ目「五月病」とは、4月の新年度から就職した新社会人や大学に入学した新入生が、新しい環境に期待を膨らませ張り切っていたにも関わらず、五月のゴールデンウイークが明けたころから特に理由もなく気分が落ち込んだり、なんとなく倦怠感があったり眠れなかったりなど、心身に不調が起きる状態の総称です。しかし、「五月病」は正式な病名ではなく、明確な診断基準もありません。最近では、病院を受診すると病状によっては「適応障害」の一種と診断されることもあるようです。

この「五月病」状態は、一見すると「うつ病」の症状に良く似ています。「うつ病」の代表的な症状は、抑うつ気分・興味の喪失・無気力・集中力の低下など、身体的には食欲不振・倦怠感・不眠・下痢や便秘などがあり、似ているというより「五月病」は軽うつの状態を指す表現の一つといっても差し支えありません。

「五月病」という状態の多くが一過性のもの

では、「五月病」と「うつ病」の分かれ目はどこにあるのでしょうか。それは、「五月病」という状態の多くが一過性のものであり、「うつ病」と診断される症状は継続性があるということでしょう。「五月病」には大きな環境の変化という明らかなストレス要因があり、これは程度の差こそあれ誰もが多少のストレスを感じるものです。

新しい環境への適応力には個人差がありますが、多くの場合は「五月病」の状態を抱えながらも時間の経過によって徐々に環境へ適応し、それに伴って自然と症状も改善されていくものです。

「五月病」の人の性格傾向に「他責的」な傾向が見られる

また、「五月病」と「うつ病」の違いとして、一概には言えないものの、「五月病」の状態が見られる人の性格傾向に「他責的」な傾向が、「うつ病」と診断される人に「自責的」な性格傾向があるように感じます。

「他責的」とは、例えば環境にうまく適応できない原因を「上司の教え方が悪い」「自分の希望と違う部署に配属された」「先生の講義が分かりにくい」「第一志望の学校では無かった」など、自分の外に求める傾向が強く、「自責的」とはそれを「自分の能力が低いからだ」「自分の態度が悪いから怒られるのだ」など、自分の内に求める傾向が強いことを言います。

さらに、両者に共通する性格傾向として生真面目で理想が高いといった傾向も見受けられ、それが故に目の前にある環境を素直に受け入れることが難しくなるのではないでしょうか。そういった視点から見れば、「五月病」は少し前に話題になった「新型うつ」の状態に似ているともいえます。

「五月病」も長く続けば「うつ病」へ移行する

「うつ状態」を引き起こすのは、ストレスを感じることで脳細胞が機能低下を起こし、脳内伝達物質の「セロトニン」が不足するためであると考えられています。全く同じ環境であっても怒り・不満・悲しみ・絶望などのストレス感情を感じやすい性格傾向の人は「うつ状態」に陥りやすいのです。

「五月病」の状態は一過性のものであると述べましたが、人より少しだけストレスを感じやすい傾向が強い人に起こりやすいことは事実なので、「五月病」の状態もあまり長く続くようだとそこから「うつ病」へと移行します。スポーツや音楽を聴くなど、できるだけ気持ちをリフレッシュすることを心掛けていれば、多くは1~2カ月で改善へ向かいます。それでも、それ以上長引くようであれば、カウンセリングや病院など、専門機関へ受診されるのが良いでしょう。

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