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子供2人目のお金が不安。経済的不安を金銭面で乗り越える家計管理術

カテゴリ:
お金・保険
キーワード:
子育て拠出金

「夫婦の約7割が、2人目の出産をためらっている」という事実をご存じでしょうか。およそ50年にわたって出生数が低下するなかで、実は2人目の子供を望む夫婦はたくさんいます。年代や男女差に多少の違いはあっても、その傾向にあまり変わりはありません。

複数の子供を望む夫婦が多いのに、出生数が減少しているとはどういうことなのでしょうか。そこには、2人目を迎えることで増加する金銭的、肉体的不安や不安定な経済状況などが大きく影響しています。子育て環境を取り巻く現実をみながら、2人目を迎え入れるためにできる不安解消方法を紹介していきます。

子供は2人以上が理想、お金への不安がためらう理由

もうひとり子供がほしいという人たちを応援する「1more Baby(ワンモアベイビー)応援団」の調査によると、2人以上子供がほしいと考えている夫婦は69.9%という結果が出ています(2018年)。前回(2017年)の調査では、79.7%という数字ですので約1割も減っています。

減少したものの、多くの人が2人以上の子供を望んでいる様子がうかがえますが、ためらって夫婦がほとんどです。いわゆる「2人目の壁」ですが、「自分の家庭には2人の壁が存在するか」という問いに対して、74.3%の人が「存在すると思う」と回答しています。

その理由として最も多いのが「経済的な理由(子育てや教育など家計の見通し)」です。

ほかの調査も見てみましょう。国内の結婚、出産、子育てなどの調査を行う機関が発表した2015年度の報告書(ほぼ5年ごとに実施)によると、54.0%の夫婦が2人の子供をもうけています。多くの夫婦が「2人目の壁」を超えているように見えますが、子供1人の夫婦も増加していて、前回の調査(2010年)では15.9%だったところ、今回は18.6%となっています。

また、同調査によると夫婦の理想の子供の数は2.32人ですが、実際の子どもの数は1.94人で2人を下回っています。

理想と現実の出生数に隔たりがある理由としては
「自分の仕事に差し支える」
「家が狭い」
「心理的肉体的負担に耐えられない」
「末っ子が夫の退職までに成人してほしい」
「子供がのびのび育つ社会環境ではないから」
「自分や夫婦の生活を大切にしたい」など、さまざまあります。

ただ、一番高い割合を示していたのは「1more Baby応援団」の結果と同じく「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」という理由です。

※参考:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査結婚と出産に関する全国調査(夫婦調査)」

2人目の子供を持つとお金はどのくらい必要?

実際に月々に必要なお金は2人目の子供を持つことでどう変わるのでしょうか。

・子供1人世帯 月の生活費平均29万円
・子供2人世帯 月の生活費平均33万円
※参考:総務省統計局「家計調査報告」2020

住んでいるエリアなどによっても変わりますが、注目したいのは2人目の子供を迎えると月々およそ4万円のお金がかかるということです。子供が小さいうちはそんなにかからないかもしれませんが、中学生以上になると食費などの出費も重なり、3~5万円のお金がかかるといわれています。

現実的な問題として、お金の面での壁は高く感じられます。子供が誕生すれば、食費、衣服費、衛生費などの子育て生活費用のほか、教育資金の準備も必要となり、将来に向けた収入面の不安、支出面の不安を改善することが求められます。

金銭面への不安から共働き夫婦も増加

子供2人目を望むものの、金銭面が不安で迷う夫婦が多いことからもわかるように結婚後も働く女性が増えています。

「平成30年版厚生労働白書(厚生労働省)」によると、1995年頃には専業主婦世帯と共働き世帯がほぼ同じでしたが、2000年に入る前から共働きの方が上回り、現在は倍近くの数になっています。

第1子出産後も妻が仕事を続けている割合は、2014年に53.1%へと上昇してようやく半数を超えました。
※参考:国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査結婚と出産に関する全国調査(夫婦調査)」

出産を機に仕事をいったん辞めて、少し落ち着いてからパートに出るという人も合わせれば、子供を持ちながらしっかりと働いている女性が多いことがわかります。

「パパ活」「イクメン」などという言葉と共に社会の在り方が少しずつ変化してきていることの表れであると考えられます。男性の育児休暇や子育て中の女性の時短勤務など、社会全体の少子化対策への動きがようやく表面化してきました。

共働き世帯は今後さらに増加していくと考えられるので、子育てしながら働ける環境はさらに整備されるでしょう。

経済的な不安を取り除く方法

前述のように夫婦共働きの世帯が多くなりました。二人で働いているので、徐々に収入が増える可能性はあるものの、景気の先行きが不透明な昨今では大幅な収入増が期待できません。2人目を妊娠した後は支出も増えるので、経済的な不安はつきまといます。

また、片働きで子どもが1人の場合も当面の収入を増やすことは難しく、その局面で2人目の出産を考えた際、さらなる支出増の不安が高まります。それでも、できることからコツコツと取り組んでおく必要があるでしょう。

・将来に向け資格を取ったり、投資に取り組んでみる
具体的には、育児休業中、専業主婦である場合には、育児の合間に可能な範囲で将来の仕事に生かせる資格取得を目指したり、興味があればという前提で、少額から投資に取り組んでみたりするのも一つの方法です。

・両親に援助を求める
両親の援助も視野に入れるべきです。2015年に「結婚・子育て資金の一括贈与にかかる贈与税の非課税措置」が創設されました。父母、祖父母が20歳以上50歳未満の子の子育て資金に充てる目的で金融機関に信託等をした場合、受贈者1人につき1000万円まで贈与税が非課税となる制度です。

また、父母、祖父母等が30歳未満の子、孫の教育資金に充てるため、金融機関に信託等をした場合は受贈者1人につき1,500万円まで贈与税が非課税となります。これらの援助は、祖父母等に経済力があることが前提であるため必ず利用できるとは限りませんが、子育て・教育資金への不安が大きいようであれば、相談を持ちかけてみてはいかがでしょうか。

・お金の使い方を見直す
支出の面で考えれば、出産した時点で独身時代のお金の使い方をゼロから見直してみることをおすすめします。今後、子育てをしていくため、優先順位が低い支出を減らしたり、見直したりすることで子育て資金、教育資金を捻出してみましょう。1つの目安として、幼稚園から高校までの15年間でかかる教育費(学校外教育費を含む)は、オール公立の場合で約550万円。1カ月換算で約3万1000円です。生活費も別途必要ですが、この資金を安定的、継続的に確保しましょう。

家を購入する場合、安易に「家賃と変わらない額で」と考えず、住宅ローンの月々の支払いは手取りの20%程度におさえるようにしましょう。ローンの金利が上がる可能性があるほか、固定資産税など税金の支払いもあります。また、賃貸の場合は修繕費などの負担はありませんが持ち家の場合、一戸建てならリフォーム、マンションも修繕積立金などが必要になります。

貯金が苦手という人も多いと思います。その場合は、給料から天引きされる財形貯蓄や、一定期間お金が引き出せない定期預金などの利用をおすすめします。

家計簿をつけるのが苦手な人も、1カ月だけでもいいのでつけてみましょう。家計の支出の内訳がわかります。それをもとにひと月の予算を決めて、封筒ごとに仕分けしていくと何にどのくらいお金を使っているのかが見えてきます。

・お金がかからなくても楽しめる環境を整える
子育てにおいて、できるだけお金をかけずに、手間をかけるのも1つの方法です。一緒に勉強する、図書館やレンタルを利用する、中古品を購入するなど、お金がかからなくても楽しめる環境を整えることで、2人目への不安も小さくなるのではないでしょうか。まずは試してみて、自分たちに適したお金の使い方を見つけ、2人目への不安が小さくできる仕組みを作ってみましょう。

2人目を考えつつも、家計に不安を抱えている家庭であれば、子どもが小さいうちから過剰に衣服やおもちゃ、習い事にお金をかけすぎないことも大切です。小さいうちにかけたお金について親は満足するかもしれませんが、子どもは覚えていません。子どもが小さいときに過剰にお金をかけるよりも、子どもが進学するときや人生の大きな決断をするときに援助する方が、将来的に子どもに負担をかけずに済みます。

子育て支援の利用で金銭面の負担軽減と不安解消

出生数は、1970年代の第2次ベビーブームの約209万人をピークに、ほぼ低下の一途をたどっています。2017年には、約94万人となりピーク時の半数以下となりました。

子育てに対する肉体的・精神的負担を軽減してくれる人として、配偶者が約67%、親が約55%であるのに対して、自治体が提供する公的保育サービスは7%程度しかありません。これを重く受け止めた行政が、子育て支援のさまざまな取り組みを始めています。
※参考:内閣府 少子化社会対策白書

経済的な不安を抱えて2人目の子供をためらう子育て世帯に、子育て支援サービスの一部を紹介します。所得制限や自治体によるサービスの違いもあるので詳しくはお住まいの市区町村にお問い合わせください。

ここでは、2人目以降の子供を持つことで優遇を受けられるサービスをみていきます。

児童手当
中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方

支給額
児童の年齢と児童手当の額(一人あたり月額)
3歳未満一律1万5,000円
3歳以上小学校修了前1万円(第3子以降は1万5,000円)
中学生一律1万円

幼稚園・保育所・認定こども園の無償化
令和元年より3歳から5歳児(小学校入学前)までの無償化が開始。幼稚園は月額上限2万5700円となります。また、基本的には送迎費用や食材費、行事費などは実費となりますが、年収360万円未満相当世帯と全世帯の第3子以降は、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除されます。

0〜2歳児の子供たちについて
住民税非課税世帯を対象に無償化されます。きょうだいで利用する場合、保育所などを利用する最年長の子供を第一子として数え、順に2人目は半額、3人目以降は無料になります。
※年収360万円未満の家庭では第一子の年齢は問いません。

経済的不安から2人目をあきらめないで周りを見渡そう

子育てしながら働くことへの不安、2人目の子供を持つことで生まれる金銭的な不安や肉体的な負担。これらは多かれ少なかれ誰もが抱えている悩みです。一人で抱え込まず周囲に相談したり、利用できるサービスや受けられる援助がないか探したりしてみましょう。

まだまだ行政の子育て支援では追い付かないのが現状ですが、日々改善されているのも事実です。子育て支援サービスは市区町村によって大きく異なります。該当の窓口にぜひ相談してみてください。

子育てはさまざまな負担以上に得られるものが多々あります。2人目を持つということはきょうだいができるということでもあり、家庭内の人間関係なども大きく変わります。金銭面での不安は支出の見直しで、わずかかもしれませんが解消できます。

不安解消方法や行政サービスの利用を参考に、家事・育児・仕事と義務的にこなすのではなく、楽しみながら行っていただければと思います。

セミナー・執筆を通じてお金のコントロールを提案するFP

益山真一さん(ベターライフ提案室インタレスト)

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