女性を下の名前で呼ぶのはダメ?相談数増加の「ジェンダー・ハラスメント」とは?

 | 社会保険労務士
大東 恵子

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個人の能力や特性を無視し、社会的な性差で一律に行われる

女性を下の名前で呼ぶのはダメ?相談数増加の「ジェンダー・ハラスメント」とは?ジェンダー・ハラスメントという言葉をご存知でしょうか。セクシャル・ハラスメント、俗に言う「セクハラ」は「性的いやがらせや性的いじめ」を指すことが多いのに対し、ジェンダー・ハラスメントは個人の能力や特性を無視し、社会的な性差で一律に行われるハラスメントのことを指します。

誰でも一度は言われたことがあるのはないでしょうか。「男のくせに情けない」「女のくせに生意気だ」などの物言いが代表的な例になります。その他のジェンダー・ハラスメントとしては以下のようなことが考えられます。

・女性であるからという理由で、お茶くみや細々とした雑用を頼む。
・困難な仕事や重要な役割は女性ではなく、男性がやるべきだと言う。
・女性の状況(年齢、婚姻状況、出産)により、「女の子」「奥さん」「おばさん」「おかあさん」などと呼び方を変える。
・容姿や体型について、相手を傷つけるような発言をする。
・女性のみ姓でなく名前を「ちゃん」付けで呼ぶ。

(参考文献:ジェンダー・ハラスメントに関する心理学的研究-就業女性に期待する「女性らしさ」の弊害- 著者:小林 敦子氏)

加害者と被害者の意識間には大きな“ズレ”がある

ジェンダー・ハラスメントは、発言者側にハラスメントを行っている自覚がないことが多いため知名度は低く、加害者と被害者の意識間には大きな“ズレ”があります。

2011年に6労働局で扱ったいじめのあっせん事案の申請人は、女性が59.9人と約6割を占めており、内容としては、上司や同僚から容姿・年齢・結婚(離婚等)に関する発言があったと訴えるものが目立つのが特徴です。また、男女問わず職場での強いいじめや嫌がらせなどのトラブルによりうつ病などの精神障害を発病し、労災補償を受けるケースも年々増えています。平成25年度では436件の報告があり、職場で起こるハラスメントを放置しておけば「従業員のモチベーションの低下」「メンタルヘルス問題の増加」などの心身の健康を損なう恐れがあります。

職場の一人一人が意識を持つことが大切

ジェンダー・ハラスメントの起こる背景に、「意識の低さ」が挙げられます。人の心に関わることなので、一度起こってしまった問題を解決するのは容易ではありません。そのためには、問題が起こらないよう予防対策を取ることが重要です。まずは企業としてジェンダー・ハラスメントのみならずハラスメントをなくすべきであるという方針を打ち出し、職場の一人一人が意識を持つことが大切です。

組織としての方針が明確になれば、ハラスメントを受けた従業員もその周囲の従業員も、相談や問題に対しての指摘や発言をしやすくなります。また、実態を把握するためには、アンケート調査の実施が有効です。年に1回など定期的に実施し、常にハラスメントに対する意識を俎上に載せること、加えて研修・教育をすることも効果が期待できます。

これらの対策をし、起こってしまったトラブルには、企業で相談窓口を設け迅速に対処する必要があります。誰しも悪気なく他人を傷つけてしまうことはあります。しかし、今のご時勢、「知らなかった」「そんなつもりはなかった」では済まされません。なにがジェンダー・ハラスメントかさえ知っていれば、トラブルは回避できます。

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