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男性だけ?受動喫煙で高まる歯周病リスク

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受動喫煙が歯周病のリスクを高めることが明らかに

男性だけ?受動喫煙で高まる歯周病リスク

能動喫煙だけでなく、受動喫煙も歯周病のリスクを高めることが明らかになりました。(国立研究開発法人国立がん研究センター予防研究グループ東京医科歯科大学 による1990年の多目的cohort研究の喫煙状況に関するアンケート結果より)。以下はその報告書の抜粋です。

「男性では、喫煙者の歯周病のリスクは受動喫煙経験のない非喫煙者の約3.3倍、家庭のみで受動喫煙経験のある非喫煙者では約3.1倍、家庭および家庭以外の場所で受動喫煙経験のある非喫煙者では約3.6倍、重度の歯周病へのリスクが高い結果となりました。

その原因としては、たばこのニコチンによる毛細血管収縮作用により局所に白血球が到達できなくなる事、歯周病をひき起こす細菌(歯周病菌)の発育を促進し、その病原性を高める事、喫煙は全身の免疫力を低下させ、歯を支えている組織の破壊を助長し、歯周病菌に感染しやすくなることから、喫煙者は歯周病に罹りやすくなる事などが考えられています。受動喫煙でも同様のメカニズムが推察されます。

一方、女性では喫煙状況と歯周病との間に関連は認められませんでした。その理由としては、女性は男性よりもたばこをがんの原因ととらえている割合が多いという報告から推測すると、女性は家族の中に喫煙者がいたとしてもたばこの煙を避けたために、アンケートで回答したよりも実際の受動喫煙機会は少なかったのかもしれません。また、女性は男性に比べたばこのニコチンや代謝物のコチニンをよりはやく排出するという報告もあり、女性は男性よりもたばこの影響を受けにくいのかもしれません」

女性の影響が見られない要因とは

さらに付け加えれば、生活習慣病でもある歯周病の治療と予防には、本人の自覚と努力が必要です。禁煙の努力と同じく、意志の強さなど個人の性格にもよるのでしょう。また、日本では一般的に女性の喫煙率はそう多くないため、統計上有意差が出るほどの結果が得られなかったのかもしれません。

数年前、歯の喪失率が非常に高いことが知られているオランダを旅したことがありましたが、女性が街角でタバコを吸っている姿が日本では考えられないほどよく見受けられました。世界レベルで見て非常に喫煙率の高い国として知られているオランダで同様の調査を行えば、日本とはまた違った数字が出るかもしれません。

ケアが行き届かない現状と高い喫煙率が相乗作用となっている

常勤の歯科衛生士が一人以上いる歯科医院が全国の約1割しかなく、予防のためのプロフェッショナルケアがしにくい実情と高い喫煙率とが相乗作用となっていることは間違いないはずです。

喫煙は歯の健康のみならず、がんリスクや循環器疾患リスクを上昇させるなど全身の健康にも大きく影響します。受動喫煙は、社会全体の取り組みにより避けることのできるリスク要因です。喫煙者に対して、喫煙することが自分自身の健康を損なうだけでなく、たばこから出る煙によって他人の健康にも悪影響を与えていることを理解してもらう必要があります。

歯周病治療のプロ

牧野明さん(医療法人社団 まきの歯科医院)

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