育児と介護が同時期「ダブルケア」を乗り越えるために

 | 介護福祉士
馬淵 敦士

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育児と介護の時期が重なる「ダブルケア」

育児と介護が同時期「ダブルケア」を乗り越えるために育児と介護の時期が重なる「ダブルケア」。世間ではあまり耳にする機会はありませんが、近年の傾向としてそうした状況を迎える人が増えつつあるようです。増加の要因は二つ、本人の晩婚化と親の高齢化だと考えられます。40代で出産し、子育てを始める時には親の年齢が65歳を超えているということも珍しくなくなりました。

育児と介護の問題は、今に始まったわけではありません。少子化が叫ばれている昨今、子育て世帯を応援する施策が増え、待機児童の解消等を目的に平成27年4月より、「子ども・子育て支援法」が施行されました。これにより、小規模保育所の開設などが一定の要件を元に緩和され、保育所に入所できなかったために就労できなかった女性が、今まで以上に社会進出できるようになったといえます。また、高齢者施策については知られている通り、平成12年4月より介護保険制度が始まり、高齢者の介護サービスの充実などを図っています。

介護保険制度は大きな問題を抱えている

では、現状はどうでしょう。「子ども・子育て支援法」に関しては始まったばかりであり、今後の動向を見守っていくとして、既に施行されて10年以上が経過している介護保険制度は、現在においても大きな問題を抱えています。

高齢化の進展に伴い、利用頻度の拡大、長寿化・団塊の世代が65歳に到達することによる高齢者の増加などにより財源確保の困難さが露呈し、「社会保険に求められるべき必要不可欠な保険給付を目指す」という本来進むべき形を逸脱している傾向が見られています。例えば、軽度者に対する給付制限(福祉用具の利用制限・特別養護老人ホームの入所者を中重度者に限るなど)が、これに当たります。

積極的に行っていきたい施策が「宅幼老所」

これら高齢者制度が不十分な中、ましてや制度が確立していない育児両方となると、抱える側にとっては大きな影響となるのも当然です。社会参加に積極的であった女性も、徐々に消極的になっていく恐れがあり、また、人材不足にあえいでいる企業側にとっても、ダブルケアによる離職は避けられません。先手を打っていく方法が必要です。また、これは本人だけの問題ではなく、「仕事に就くために嫌がる両親を無理矢理施設に入所させる」「子どもを毎日保育園に通所させ、親子のコミュニケーションが取れない状態になる」などは本末転倒です。

そこで、積極的に行っていきたい施策としては「宅幼老所」というシステムであります。これは、保育園とデイサービスを一体化させることにより、高齢者と幼児児童の交流を図っていくものですが、このように「ダブルケア」を抱える本人にとっては、同一施設で介護・保育を担ってくれるという安心感、迎えに行く場所が一カ所に固定されるなど、負担も少なくなると考えられます。全国ではまだまだ少数ですが、厚生労働省も取り組みを進めていると聞きます。このような柔軟な仕組みをつくっていくことが、結果、すべての人が暮らしやすい世の中になるのではないでしょうか。

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