解雇のハードルが高い日本式雇用システムの問題点

 | 社会保険労務士
松本 明親

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実は珍しい日本型雇用制度

解雇のハードルが高い日本式雇用システムの問題点日本での労働契約は、新卒の場合、よほどのことがない限り正社員として定年まで働くことができるのが一般的です。この「正社員」というのは、特に職務を限定しているわけではありません。事務、営業、工場作業員、研究開発、品質管理など、さまざまな職務を問わず、現在与えられている職務が規模縮小によりなくなったからといって解雇にはならず、他の職務や勤務地に配置転換などで対応しなければなりません。

しかし、外国では職務や労働時間、勤務地を限定して雇用契約を結ぶのが通常であり、雇用契約時に限定した職務がなくなれば退職することになります。つまり、外国では雇用契約を結ぶ場合に「職」を重視しますが、日本においてはどんな「会社」であるのかを重視することになります。

このように、与えられた職務がなくても会社が存在している限りは雇用が保障され、生活が安定するという点で良い面はありますが、一方では解雇のハードルが高く、会社にとっては雇用流動性が低くなり、意欲ある人を活用しにくい状況になっています。

生活手段を奪う解雇には高いハードルが

では、なぜ解雇のハードルが高いのでしょうか。それは、労働契約法第16条で「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と規定されているためです。

つまり、解雇は誰もが納得するような正当な理由がなければ無効となってしまいます。例えば、社員が会社の方針や上司の指示に従わないという事実があったからといって、すぐに解雇できるわけではありません。普通解雇には次の要件があります。

1)客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が存在すること
2)当該行為が就業規則に規定する解雇事由に該当していること
3)解雇回避努力を行ったこと

裁判となれば、これらの要件を満たさない解雇は無効と判断されてしまいます。

金銭解決制度で能力の発揮できる社会に

解雇が無効となれば、基本的には会社に復帰することになります。しかし、不当解雇する会社には戻りたくない場合、少ない解決金をもらうしかありません。そこで、政府の規制改革会議が金銭解決制度を提言しています。

それは、不当解雇となっても復職以外に金銭で補償し、補償金の基準を設けるというものです。これには、金銭解決に応じるよう労働者に圧力をかけ、復職を妨げるような制度の乱用を防ぐため、補償金の設定や制度の運用は慎重にしなければなりません。そうすることで、中途採用であっても能力ある人が活躍できる社会となり、雇用流動性が高まると考えられます。

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