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企業で働く障害者が過去最多!「人数」の次に求められる「雇用の質」

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過去最高を更新した障害者の雇用状況

企業で働く障害者が過去最多!「人数」の次に求められる「雇用の質」

先日、厚生労働省より今年6月1日現在の「障害者雇用状況」が公表されました。この集計結果によると、従業員50人以上の民間企業に雇用されている障害者の数は前年比5.1%増の約45万3千人。雇用率についても前年比0.06ポイント増の1.88%という結果で、ともに過去最高を更新したことが明らかになりました。

さらに、障害種別ごとの雇用者数の伸び率を見てみると、身体障害者が前年比2.4%増で知的障害者が同8.4%増。これと比較すると、精神障害者については同25%増と大きな伸びを見せており、全体の数字を押し上げる一因となっていることがわかります。

企業に求められる法改正への対応

このように企業で働く障害者が増加の一途を辿る中、平成28年4月から改正障害者雇用促進法が施行され、新たに二つの対応が企業に求められることになります。一つ目は、「障がい者に対する差別の禁止」。これにより、募集や採用活動、賃金の決定、昇進や降格、または解雇といった人事・労務管理の一連の局面において、障害者と障害を持たない者との不当な差別的取り扱いが法律上制限されます。

差別的な人事や処遇について、たとえ就業規則や社内制度として明確に定められていないとしても、慣例として行われていたり、管理者や人事担当者個人の判断で行われているケースもあるでしょう。自社において禁止差別に該当する対応が行われていないかどうか、今一度見直しておきたいところです。

企業に課される障害特性への配慮

法改正により企業に求められる対応のもう一つは、「合理的配慮の提供義務」です。これにより、個々の障害者の障害特性に配慮した募集・採用、及び採用後の雇用管理を講ずる義務が企業に課されることになります。

雇用する障害者に対する合理的配慮については、障害者自身からの申し出があった場合だけでなく、事業主側から障害者に対して、職場で支障となっている事情の有無を確認することが求められています。そして、企業は障害者と障害を持たない者との間の均等な待遇の確保や、障害者が有する能力を有効に発揮できるよう、障害特性に配慮した雇用管理上の対応を実施しなければなりません。また、合理的配慮に関する従業員からの相談に対応する担当者・部署等の窓口を設置し、これを周知することも必要とされています。

障害者雇用に関する国の施策については、これまでは雇用率制度や納付金制度といった「法定雇用者数の達成」を主眼に置いたものでした。しかしながら、今回の法改正からもわかるように、今企業に求められているものは、単に「雇用する人数」だけではありません。障害者が能力を発揮できるような人事活動やさらなる雇用環境の改善といった、「雇用の質」に対する要求へとシフトしていると言えるでしょう。

障がい者雇用・在宅勤務制度に強い社会保険労務士

佐々木淳行さん(リブレ社会保険労務コンサルティング)

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