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生まれてくる子供に深刻な影響も 蚊が媒介するジカ熱は日本で流行しないの?

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医療・病院

ジカ熱とは?

「マタハラ」リスク高まる 企業のNG対応

一昨年夏、日本中を恐怖に陥れた「デング熱」。
デング熱は日本では沈静化しましたが、今度は「ジカ熱」なるものが世界を席巻し、
日本でも流行を危惧する声が上がり始めています。
今回は、この「ジカ熱」についてお話させていただきます。
ジカ熱を発症させるウィルスを「ジカウィルス」と言います。
およそ70年ほど前、アフリカのウガンダの「ジカ」と呼ばれる森林に
生息するアカゲサルから見つかったのでこの名がつけられました。
ウイルスのタイプは、デング熱と同じく「フラビウイルス属」の仲間に属します。
感染経路もデング熱と同じで、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカによって媒介
されます。ただ、症状はデング熱よりはかなり弱く、熱も38度5分以下、
頭痛、関節痛など、普通のインフルエンザよりも軽い程度。
感染しても8割の人が気づかないくらい。発症しても数日から一週間で治ります。
ではこの程度の病気で、なんでそんなに世界中で大騒ぎしているのでしょう。

ジカ熱の流行が心配される理由

「小頭症」という病気をご存知でしょうか。「小顔になれるの?」と喜んでは
いけません。「小頭症」とは、胎児の脳が何らかの原因で発達不全になり、
結果的に頭部が異常に小さな状態で生まれてくる病気です。もちろん脳の発達
不全ですから、その不全の状態に応じて、けいれんや、発達障害、知的障害、
運動障害等の障害を抱えてしまいます。原因としては、染色体異常、妊婦の低栄養、
風疹ウイルス、サイトメガロウイルスの感染が疑われています。有効な治療法は
残念ながら今のところありません。

さて、ブラジルの人口は2億人。ここで生まれてくる小頭症の赤ちゃんは、毎年
100人台で推移していました。ところが最近その数が急増し、昨年10月から現在
までにその数は4000人を超えるほどになっています。発症率が突然数十倍~
100倍に跳ね上がったわけです。ブラジルではまさにこの時期、ジカ熱が猛威を
ふるっていて、小頭症の原因となっていることが強く疑われるようになったのです。
最近は亡くなった小頭症の子どもや母親の羊水から直接ジカウイルスが検出される
に至り、ほぼ「原因ウイルス」と断定されつつ有ります。これこそが現在ジカ熱が
世界を恐怖に陥れている理由なのです。

日本でジカ熱に感染する可能性は?

では、日本では感染の恐れはあるのでしょうか?今現在の所、感染の可能性は
ほぼO、と言えるでしょう。なぜなら、ジカウイルスやデングウイルス
を非常に効率的に媒介するネッタイシマカは日本には居ませんし、一応媒介が可能な
ヒトスジシマカは冬期、日本では成虫として生息していないからです。
ですから、今現在、一番感染の可能性があるのは、感染国に出かけて行って、そこで
ジカウイルスを持ったネッタイシマカに刺されてしまうことです。妊娠している女性
はこの時期、感染国には絶対に行かないことです。また、感染国に滞在中、または
帰国後数週間は、男女ともに避妊をしていたほうが無難です。
感染しても8割の人が気づかないので、万一妊娠してしまった場合、感染中だっ
たという
場合も有り得るからです。また、非常に稀ではありますが、性行為による男女間の
感染も確認されています。

というわけで、日本にいる限り、今現在は安心です。しかし・・・・今後は決し
て安心とばかりは言えないのです。今年の夏、ブラジルでオリンピックがあります。
ブラジルはジカ熱の一大感染地。
多くの日本人がオリンピック観戦にブラジルに出かけるでしょう。そして、そこで
ジカ熱に感染しそのままの状態で、帰国してくる可能性は大いにあります。
しかも、まずいことに、その時期は日本でもジカウイルスを媒介可能な
ヒトスジシマカが大発生しています。
この最悪のタイミングをどう乗り切るのか。たぶん、厚生労働省も相当に
頭を痛めているでしょう。
初期対応のまずさがどのような結果になるのか、デング熱騒動で痛感している
はずですから。
とにかくこの夏、平年以上に「蚊」に刺されないように注意して下さい。
特に妊婦の方は。

そして長期的に見て、もう一つ怖い話。このジカ熱、発見されていから現在に至るまで、
だんだん流行が頻発、かつ大規模になってきています。昨年からの世界的大流行では
25ヶ国にまたがり、その感染者数は400万人になる、と言われています。
この原因の1つは、おそらく地球温暖化によるネッタイシマカの生息域拡大があると思われます。
温暖化の波に乗り、ネッタイシマカは現在台湾までその生息域を北上させて来ています。
単発的でしょうが、日本でも成田空港周辺でネッタイシマカが見つかっています。
このまま温暖化が進めば、日本でもネッタイシマカが定着してしまう可能性がある。
するとダムの決壊のように、いろいろな病気がいきなり入り込んでくるでしょう。
ネッタイシマカはジカ熱、デング熱、チクングニヤ熱、黄熱等の感染に関与する、
まさにウイルス媒介のサラブレッドと言えるからです。
それだけはなんとしても阻止したいものです。

生徒の意欲を引き出し自分で考える力を育む塾講師

北川実さん(学習塾ポラリス)

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