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10年後の空き家増加抑制へ 住生活基本計画を閣議決定

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空き家増加抑制のため既存住宅の活用と流通を促進

住宅購入が別れ道?老後貧乏から下流老人に転落するわけとは

3月初旬に「住生活基本計画」の見直し計画が閣議決定されました。
住生活基本計画とは住生活基本法に基づき、住生活の安定の確保と向上の促進のための基本的施策を定めるもので、概ね5年ごとに見直されています。   

今回の計画では大きく3つの指針と8つの目標が設定されました。
その中で注目されるのが空き家の増加を抑制させると共に、空き家を含めた既存住宅の活用と流通促進を加速させようとする数値目標が設定されことです。
前回の計画でも既存住宅の流通を促進させる目標が設定してありましたが、新築住宅市場から既存住宅流通市場への転換が予想以上に進んでいないため、拍車をかけようと見直されている部分があります。

具体的数値目標は、策を講じなければ10年後には520万戸まで増加すると試算されている「その他空き家(賃貸や売却の予定がない空き家)」を400万戸に抑制させるとしています。
その為には新築住宅の増加を抑える必要もあり、近年並みの年間新築着工数(平成27年は約91万戸)を持続していけば目標が達成できなくなるため、新築住宅の着工が否応なしに減少していくことが予測されます。
※「既存住宅」とは「中古住宅」のことですが「中古」という表現が良くない印象を与えるとして国土交通省は「既存住宅」という表現にしています。

拡大が見込まれるリフォーム市場

リフォーム市場規模を7兆円から12兆円へ拡大させる前回目標が継続されています。
既存住宅の流通を促進させるだけでなく耐震性、耐久性、省エネ性など建物の質を向上させて永く安心して生活できる環境づくりを目指しています。
また、既存住宅を売買する前にその状態を把握するためのホームインスペクション(住宅診断)の必要性も盛り込まれており、購入前にホームインスペクションを利用することで既存住宅購入への不安を除き、取引数を増加させる効果を見込んでいます。

既存住宅を長期的に活用し循環させる欧米型への転換

これまでマイホームの取得は新築住宅が主流でありそれによって経済波及効果もあるとされたことから、なかなか既存住宅の流通へと転換されずにいました。
しかし人口減少に伴い空き家が増加し社会問題化することで、既存住宅を長期的に活用し循環させる欧米型のストック市場へと転換していく環境が整備されようとしています。

住生活基本計画では既存住宅流通市場を4兆円(平成25年)から平成37年には8兆円へと倍増させる数値目標が出されており、計画通りに進めば住宅流通に占める既存住宅流通割合が現在の15%程度から30%~50%近くまで占めるようになるものと予想します。

また、空き家の増加抑制はコンパクトシティなどの効率的なまちづくり構想とも関連していくため、各市町村のまちづくり計画もこれまでとは異なる計画が次々と発表されていくことが予想されます。

不動産流通市場はフロー型からストック型に転換へ

しかし課題も少なくなく、空き家所有者の特定や既存住宅を適切に流通させるための十分なスキルを持つ担い手の育成も必要です。また、不動産業者による売却情報の囲い込みや不徳なリフォーム業者の排除なども必要で他関連法の見直しも待たれます。

ただ今回の住生活基本計画は、国土交通省が既存住宅の取得と長期優良住宅化リフォーム等に関する説明会を各地で行っていることから実現に向けて本腰を入れていることが窺われます。
また、住宅需要者層においてもリノベーションや古民家再生など既存住宅を活用する気運が高まっており、本年から来年にかけて不動産流通市場がストック型に大きく転換していく潮目になると思われます。

個人向け不動産コンサルティングのプロ

森田伸幸さん(森田コンサルティング事務所)

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