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学力偏差値の生みの親 桑田昭三氏死去  学力偏差値の功罪について

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偏差値の生みの親 桑田昭三氏死去

先日、「偏差値」の産みの親と言われる桑田昭三氏が亡くなられました。
「偏差値」という言葉は、今では知らない人はいない程当然のものとなっていますが、桑田氏が考えたものであるということはあまり知られていません。
当時、教員だった桑田氏が、生徒の志望校指導において先生の絶対評価に依存しているのを見て、客観的に判断する方法の必要性を感じたのが始まりだと言われています。

現在では、偏差値はそれぞれのテストごとにおける点数や順位よりも、より正確に実力を判断出来るため、受験指導においては強力な説得力を持つものとして扱われています。

試験の難易度に左右されず実力を判断するために生まれた偏差値

そもそも偏差値とは、テストの平均点を50とし、自分の成績を換算したものになります。最大の利点としては、テストの難易度が異なっても容易に自分の実力がわかることです。

例えば、Aというテストで平均点が70点の所80点をとった場合と、Bというテストで平均点が40点の所70点をとった場合を考えてみます。
単純に点数だけで見れば、Aの方が高いのですが、実際はBのテストの平均点が低く難易度が高いため、実力としてはBのテストの結果の方が良い事になります。

こういった点数のみでは見ることが出来ない点を、偏差値に置き換えることで個々の試験の難易度に左右されずに実力を把握出来るのが大きな利点となるのです。
その結果、特に受験時においては偏差値で判断する場面が増えてきたのです。

偏差値の欠点

しかし、実はこの偏差値。数字だけで表されるために、いつの間にか一人歩きし、間違って使われる事も少なくありません。偏差値の欠点とも言うべき部分ですが、
1)条件が異なる受験方式では、比べる事は不可能。
2)受験する人たち(母集団)が異なると偏差値は当てにならない。
という点に注意が必要となります。

例えば、大学受験では、大学ごとに必要とされる科目数、その傾向などが大きく異なります。まず私立大学と国公立大学では比べる事は不可能です。
私大は一発試験で主にマーク式。そして内容については狭く深くという傾向があります。
一方国公立は、センター試験(マーク式)と2次試験(記述)。
センター試験は、浅く広くという傾向があり、2次試験に至っては記述形式のところがほとんどです。

このように傾向や形式が違うと、偏差値だけでは比較することが出来ません。
また、偏差値は「同じ母集団」で比較することも必要とされます。簡単に言えば、受けるレベルがとても低い中で成績を取れば偏差値は高く出ますし、逆に、レベルが高い中では成績をとっても偏差値はさほど高くは出ません。

つまり、偏差値をきちんと利用することが出来る条件としては、知りたい内容と「同じ形式」で「同じ母集団」であることが必須になるのです。

志望校選びなどで偏差値に振り回されないことが大切

こういった条件があるにも関わらず、実際には受験生は単純に「偏差値の数字のみ」で考える事が多く、その弊害も決して少なくありません。
自分の志望校とは形式が違う模試にも関わらず、その偏差値で志望校の合格可能性があると単純に喜んでいて結局受からないというケース、逆に、きちんと正しい方向に向かえていたのにも関わらず、模試の偏差値で一喜一憂してしまい、方向性を失って結局受からないなど、偏差値に振り回されるケースは多いのです。

偏差値は、自分の位置を知るためには有用なものですが、それが示すもの、そして、扱い方には注意が必要なのです。
また、当然のことですが、偏差値は決して未来の可能性を示しているものではありません。
数字で、はっきりと出てくるためにわかりやすい一方で、どうしてもその数字にとらわれてしまいがちになります。
偏差値は、あくまで今の自分であり、決して伸びない数字ではないという事を忘れてはいけません。

志望大学の傾向に合わせ、きちんと正しい勉強方法で日々努力していけば、偏差値は驚くほど伸びます。
普段、指導していても、偏差値が20以上伸びる生徒も決して珍しくはありません。
偏差値に振り回されること無く、しっかりと自分の志望校を見据え、1歩1歩進んでいくことが重要になってくるのです。

熊谷修平

志望大学合格まで最短の道をプロの充実したサポートで導く塾長

塾講師

熊谷修平さん(Professional-Teacher大学受験突破塾)

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