JIJICO(ジジコ)

  1. マイベストプロ TOP
  2. JIJICO
  3. スクール・習い事
  4. 国語力の低下が顕著に。国語力を伸ばすために必要なこと、語彙力との違いなど

国語力の低下が顕著に。国語力を伸ばすために必要なこと、語彙力との違いなど

カテゴリ:
スクール・習い事
キーワード:
国語 勉強法

10年ほど前に、私立大学1年生の2割近くが中学生レベルの語彙力しかないという調査が発表されて話題になりましたが、若者の国語力の低下が指摘されて久しくたちます。また、短文や絵文字をやり取りするSNSが若者の主なコミュニケーション手段になり、SNSや携帯メールをよく使う学生ほど語彙が少ない傾向にあることも明らかになってきました。日本の若者の国語力が低下している実態を解説するとともに、国語力を伸ばすためにどうすればよいのかを考えてみましょう。

近年低下し続ける若者の国語力

1990年代に導入された「ゆとり教育」が終焉する頃には、子どもたちの読書量も全般的には増え、PISA (国際学習到達度調査)テストでの読解力は2006年の15位を底に2009年の8位から2012年には4位と着実に回復し、国語力の低下傾向には歯止めがかかったようにも見えました。ところが、その後の2015年には8位と再び下降しています。

PISAテストとは、OECD(経済協力開発機構)が加盟国の15歳を対象に3年に1度実施するもので、問題となっているのが「文章を読み解く力・読解力」についてのテスト結果です。OECDの平均に比べ、日本は新聞やノンフィクションを読む割合が低く、SNSを使った短文でのやり取りが多いという調査結果が出ています。加盟国の他の国との環境の違いがテスト結果に表れているとみられ、国語力を低下させている要因のひとつにも考えられます。

国語力の低下が全ての教科に悪影響を及ぼす

「学校の成績は国語力が9割」とも言われるように、日本語の読解力、記述力は国語だけでなく全ての教科で必要な基礎です。神奈川県の公立高校入試でも3年前から記述式問題が導入されました。

私自身、小学生や中学生の指導経験から全般的な国語力低下に危機感を募らせています。例えば、「1時間に10秒進む時計があります。正午の時報で時間を正しく合わせました。この時計は午後6時には何時何分を指しているでしょうか」という小学校高学年向けの算数の問題があります。計算は得意であるにもかかわらず、問題文中の「進む」(くるう)、「正午」(12時)、「時報」(毎正時の合図)の意味がわからず、問題を解けない生徒がいました。

日本語の読解・記述力が不十分であるために、数学の文章問題や証明問題では形式にばかりこだわって理論構成が支離滅裂な回答をしたり、歴史や地理の記述問題で固有名詞をひらがなばかりで書いたりする生徒もいます。

このように、国語力の低下によって他の教科の習得に支障が出るなどの影響が出ています。どの教科にしても、教科書などに書かれている内容を理解するために必要な語彙力、内容を把握する分析力や思考力が大切です。したがって、国語力が低ければ学校で先生の話すことや教科書に書かれていることが理解できないため、学ぶことに楽しさを見いだすことができません。

なぜ国語力が低下の原因はゲームのほかにネット検索にも

通常、子どもたちは、成長していく過程で家族や地域の人たちとの交流の中で語彙を増やし、話し方を学んでいきます。ところが、近年の少子化、核家族化などで子どもが大人と会話する機会が少なくなっています。さらに、ひとりでゲームをする時間が増えるなど子ども同士の会話も減っているようで、学校で勉強するために必要な基礎的な国語力をつける環境が十分ではなくなっています。

また、小学生ではある程度確保されていた読書量が、中学生になると大きく減り、高校生になると1カ月の間に1冊も本を読まない割合が50%以上に達しています。こうした読書量の減少も、国語力の低下につながっているのです。

最近では、理工系の学生のほうが文科系の学生に比べて就職率が高かったり、ノーベル賞を受賞する理工系の学者などの影響もあってか小学校でプログラミング教育を導入したり、英語を正式教科にする動きがある一方で、残念ながら国語教育の比重が相対的に縮小しているようにも見えます。国立大学では文系学部を再編する動きさえあるのです。

理工系の学科を学ぶためにも、専門書を読み込む国語力が必要なのですが、最近では、何か調べ物をするにもすぐにインターネットで検索する学生が増えたといいます。いくつかの書物から目的の事柄を探し出して総合的に分析して理解する、という過程で考える力が養われていくものですが、何事も効率を求める傾向にある昨今、何でも「ググって」(検索して)済ませることが増えているようです。

ただ、瞬時に知識が得られるメリットはあるので、検索した内容をそのままコピペするのではなく、得た知識を自分なりに生かすことができれば学習効率が上がってよい、という見方もあります。

冒頭で、国語力の低下に拍車をかけている原因として、短文や絵文字でやり取りするSNSを挙げましたが、自分の言葉で表現できているのであれば、若者らしい新鮮な言語感覚が発揮されていて、「それはそれでいいことだ」と言うこともできます。

最近の若者の国語力の低下をインターネットやSNSのせいにするのは簡単ですが、新しい学習の方法だったり、コミュニケーション方法だったりする側面を否定するわけにはいきません。

問題は新しいツールの使い方です。SNSで使われる文型や文体は主に感情をそのまま表現した話し言葉なので、ごく親しい友人関係の中では通用しますが、学校や仕事に必要な文書には適切ではありません。

仕事の連絡用にSNSが使われている会社もあるようですが、句読点や改行がないなど読みづらくて要領を得ない内容だったり、上司のコメントへの返信が絵文字やスタンプのみだったりというような、マナーの悪さが問題になっています。状況や相手に合わせて適切に判断し、使う言葉や表現のしかたを選ぶことも国語力のひとつです。

国語力と語彙力との違いを認識する必要がある

入学したばかりの小学生に語彙力がなくて先生が苦労するとか、若者の語彙力が中学生並みしかないなど、語彙力の低さが国語力の低下を象徴するように言われていますが、厳密にいえば語彙力と国語力は違います。

文部科学省では、国語力の中核をなすのは「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」といった能力であり、それらを支える「国語の知識」や「教養・価値観・感性」が重要だとしています。語彙力はこの中の「国語の知識」に含まれます。語彙の数は多いほど表現の幅が広がりますが、ただ言葉を並べるだけでは十分ではないのです。

「考える力」「感じる力」「想像する力」は、得た情報を分析して、自分の中で感じ取って自分なりに解釈した内容を論理的に構築する力です。コミュニケーションの中では、言語はもとより、言語外の知覚を通じて入ってくる情報も含め、相手の状況を的確に捉えた上で言語化し、相手や場面に応じた発言や文章を組み立てられる能力が必要です。言語を中心とする「情報を正しく理解する能力」ともいえます。

「表す力」は、「考える力」「感じる力」「想像する力」で得たことをもとに、置かれた状況や相手の様子などに合わせて言葉を選び、具体的かつわかりやすく、自分なりの表現で相手に伝える能力です。自分の言いたいことを相手に納得してもらう「プレゼンテーション能力」ともいえます。これは「書く」「話す」の両方に必要な国語力です。

先に述べたPISAテストの結果で順位を問題にしていましたが、もっと深刻なのはその内容です。文章を読んだ上で自分の意見を自由記述形式で書くという設問への回答率が、ほかのOECD加盟国に比べて特に低かったのです。国際的にもっとも大切だとされている読解力と論理的な思考、そして表現力が弱いというのは大きな問題です。

近年、教育の現場でも英語教育の義務化など国際化への対応が求められていますが、真の国際化に必要なのは国語力です。情報を分析して理解し、それを根拠に自分の解釈を相手に伝わるように表現することこそが、国際競争を生き抜いていくために必要な能力なのです。まさに、「考える力」「感じる力」「想像する力」「表す力」をフルに活動させる必要があるのです。

学習塾での対策だけでは国語力を伸ばすのは難しい

中学生になって国語力で苦労しないように、私が教える塾では小学校低学年から、生徒の国語力に応じた物語、または説明文を課題として、自宅で全文をノートに書き写して暗唱できるまで読み込んだうえで、暗唱と簡単な読解・記述の演習問題に取り組んでいます。

しかしながら、風邪をひいて処方される薬が、熱を下げたり咳を抑えたりするための対症療法にすぎず、風邪をひかない体を作るための根本的な治療ではないのと同様に、週に1~2回、塾で勉強したり問題集に取り組んだりするだけでは、本源的な国語力の向上にはほど遠いのが正直な感想です。

学校教育にしても、今後必要とされる国語力をどのような授業で伸ばしていったらよいのかは、学習指導要領には明示されているとはいえ、実際の現場ではいまだ模索中のようです。そもそも日本人は、人に意見を合わせることは得意でも、意見の違う人と議論したり、相手を説得したりすることが苦手なところがありますから、指導する先生から意識を変えていく必要があります。

また、子どもの国語力は小学生になるまでの家庭環境などに大きく影響されます。家庭での取り組みも含め、国語力の土台づくりをどうするかも学校教育の課題です。

学校生活の中で問題になっている「キレやすい子ども」も、国語力の不足が原因のひとつと考えられています。家庭環境や社会的な問題を解決するのはなかなか難しいので、子どもの国語力を伸ばすのは学校を中心とした教育が重要だと考えます。

小学生から自宅で読書していると国語力が伸びる

小学生になると、学校で読書の時間があるなど本と触れ合う機会が増えますが、あくまで授業時間の範囲なので限りがあります。そこで、アマゾンがサービスのひとつとして開始している「オーディブル」を利用して、毎月わずか1500円で子どもたち一人ひとりの読解力レベルに合った本を読み聞きする方法をおすすめします。高いお金を払って学習塾などへ通わなくとも、iPadやAndroidタブレットがあれば、無料アプリをインストールするだけで、自宅で手軽に楽しく国語力を伸ばすことができます。

本をよく読む子どもほど明確な将来展望を持っているという調査もありますが、教育現場や保護者の間では、小学校低学年から読書習慣をつけさせる優良な教材が少ないことが問題視されています。せっかく小学生になって本に興味を持つ機会を与えられたのですから、自分で読書を続けられるようにしてあげたいものです。

月額を1000円以内に抑えれば家計に優しく、自宅でもっと気軽に利用できる立派な国語ICT(インターネットなどを活用した手法)教材として、有効なツールになると思います。大切なのは子どもの国語力を養うことなので、時代に合わせ、子どもたちが親しみやすいツールを使うことも必要ではないでしょうか。

21世紀型個別+自律教育のプロモーター

小松健司さん(21世紀教育応援団 アイパル)

Share

関連するその他の記事

最近人気の金継ぎとは?サステナブルなだけじゃない、金継ぎの魅力を紹介

萩原裕大

萩原裕大さん

金継ぎで”思い”を未来に引き継ぐ漆芸家

発達障がいのある子の学習指導において配慮すべきこととは?

長谷川満

長谷川満さん

子どもの自信とやる気を引き出す教育のプロ

10月は健康強調月間。健康法「涙活(るいかつ)」のすすめ

吉田英史

吉田英史さん

「涙活」でストレス解消に導く感涙療法士

宿題をやっても効果なし!宿題は本当に必要なのか?

つだつよし、さん

意思伝達のトレーニングレシピ「伝学」の専門家

カテゴリ

キーワード