ひとり親世帯への自立支援策を拡充 利用者増を目指す

 | 社会保険労務士
五井 淳子

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厚労省がひとり親世帯への自立支援策拡充を発表

0bc436acd2a0d4645ab19ec8e0461c97_m厚生労働省は、この4月から、「ひとり親世帯」の自立支援策を拡充すると発表しました。
近年我が国では、死別や、最近増加傾向の離婚などにより、父親もしくは母親のいずれかがいない「ひとり親世帯」が急増しています。
特に母子家庭の母においては、働いていてもその5割がパートやアルバイトという非正規雇用であり、平均総所得は年間約235万円で全世帯平均(529万円)の半分以下という厳しい現状にあります(2014年 国民生活基礎調査)。

 国はこれまでも、ひとり親が安定した職と収入を得るためには一定の資格が必要だとして、当該資格取得にかかる費用や通学中の生活費の補助を行ってきました。
今回この制度が拡充されることにより、今まで以上に利用者が増え、より良い条件の仕事に就ける方が多くなるのではないかと、期待が高まります。

子どもを育てながら働ける環境の確保が難しい現状

 しかし、同時にいくつかの懸念も出てきます。
確かに介護や保育業界の人手不足は深刻な状況で、どこの施設でも職員の確保には大変な苦労をしています。
従って、資格を持っていれば就職も容易に決まるでしょう。

しかし、保育園の早朝勤務や介護職の夜勤など、不規則な時間帯での勤務をこなせなければ、正職員として採用されるのは難しいのもまた事実です。
幼い子供の預け先が確保出来ないひとり親の場合、勤務できる時間帯が制限されてしまうため、せっかく資格を取ったのにやむなく非正規のまま、という方も少なくありません。

夜勤などで親が不在の間も、子供達が安心して過ごせる場所を作っていかなければ、不安定な経済状態からの脱却は難しいのではないでしょうか。

シングルマザーにとって辛い、ストレスの多い対人援助職

就職した後の身体的、精神的ストレスも気になるところです。
対人援助職である介護や保育の仕事は、(夜勤等もあるため)心身にかなりの負担が生じます。
2014年の精神疾患による労災請求で、医療、福祉業界は請求件数、支給決定件数ともに全業種中第2位(厚生労働省発表)だったということからも、その過酷さが分かります。

こうした労働環境の中、家事も育児も1人でこなさなければならないとすると、そのストレスは相当なものでしょう。
「無理が祟って体を壊し、退職せざるを得なくなった」「時々、仕事も子供も全てを投げ出したくなる」といった、シングルマザーの切実な声を聴くこともあります。

ひとり親家庭の自立支援は地域や学校のサポートも必要

 ひとり親家庭の自立を促すために資格取得を奨励する、という施策の方向性自体は間違っていないとは思います。
介護や保育業界の人手不足に一役買ってくれるのでしたら一石二鳥でしょう。
しかし、それが逆にひとり親の過労を誘発し、心身に更なる負担を強いてしまうとしたら、本末転倒です。

 経済的な支援だけでなく、地域や学校などが連携し、ひとり親が仕事と家事・育児の負担を一人で抱え込まずに済むよう、物理的かつ精神的にサポートする仕組みを作っていくのも、重要なことではないでしょうか。
 

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