メタボ診断だけでは生活習慣病の発症リスクは判断できない?

 | 消化器内科専門医
佐藤 浩明

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日本独自の診断基準で行われているメタボ健診

40代や50代だけではない白内障、視力低下によるストレス軽減のためにも手術を  2008年4月からスタートしたメタボ健診(特定健康診査)では、腹囲(ウエスト周囲径)を計測するようになりました。
このメタボ健診における腹囲測定の基準は、男性85cm以上、女性90cm以上となっています。

この健診に関しては‘メタボ’という言葉を一般に広く知らしめ、流行語ともなり、かなりのインパクトはあったものと思われます。
しかし、この診断基準は日本独自のもので、海外では国によりメタボリックシンドロームの診断基準は異なっています。

メタボ未満でも危険因子があれば脳卒中などのリスクは高まる

  糖尿病や心臓病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病は、個々の原因で発症するというよりは肥満、特に内臓に脂肪が蓄積した肥満が原因で発症すると考えられてはいますが、メタボ健診では腹囲基準がオーバーしていなければ、他の検査項目である血圧、脂質、血糖値のすべてに異常があっても保健指導の対象にならないという問題がありました。

そのような中、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目した特定健診で腹囲が基準(男性85cm、女性90cm)に満たなくても、高血圧や高血糖、脂質異常などの危険因子が一つあれば、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクは、男性で1.91倍、女性で2.12倍に高まっているとの調査結果を厚生労働省研究班が発表しました。

  また、40~82歳の男女3000人超について、内臓脂肪の断面積をCTで計測し、メタボ基準の腹囲基準で対象者を選別した別の調査では6年間に渡り、動脈硬化の進行具合を心臓の冠動脈や脳血管の梗塞具合の有無など6項目で比較しています。

その結果、いわゆるメタボ対象で肥満といわれる人と、そうでない人で調査した6項目すべてにおいて、その差は1.5倍未満にとどまったという結果も出されており、メタボ診断の腹囲基準と生活習慣病の因果関係は、それほど強くないとも言えそうです。

高リスク因子発見のためには現状のメタボ健診の見直しが必須

  心血管疾患の予防効果が明らかな高リスク因子としては高血圧,脂質異常症,糖尿病,喫煙などが上げられます。
特定保健指導の対象者を抽出する基準とされている腹囲(内臓肥満)について、メタボリックシンドロームは内臓肥満が原因で喫煙以外の高リスク因子を伴った状態と考えられています。

現在の腹囲偏重の日本のメタボ健診では,多くの高リスク例を見逃している可能性が高く,肥満例だけでなく非肥満例を含めた予防施策への転換が必要と考えられ、2018年度のメタボ健診の指針見直しに向けて新たな基準の選定が必須と思われます。

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