最近の倒産・廃業事情を考える かつてないほど低い水準の開業率

 | 経営危機コンサルタント
内藤 明亜

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開業率と廃業率の差が近年かつてないほど拡大

最新の『中小企業白書2015』によると、開業率と廃業率の差が大きく広がっています。
04~12年の開業率[1.4%]廃業率[6.1%]は、その前の調査04~06の開業率[5.1%]廃業率[6.2%]に較べると開業率が驚くほど大きく落ち込んでいるのが特徴的です。

この調査で開業率が最も低かったバブル崩壊期の91~96年の開業率[2.7%]と比べてもおおよそ半減です。
廃業率も91~96年の3.2%から倍近くに跳ね上がっています。
開廃業率の差が3.7%もあるということは、このまま行けば30年で日本の会社はすべてなくなってしまうという計算になります。
倒産や廃業が話題になりがちですが、その裏側にある開業率の低下こそが問題なのだとわたしは考えています。

開業率停滞の原因

ではなぜ開業率が上がらないのでしょうか。いくつかの要因が考えられます。
大きな要因として考えられるのは、小規模零細企業の領域を大中小企業が侵食していることです。

一例として飲食業界を見ると、全国的なチェーン店が地方都市の独立店を追いやっている現状は明らかになります。
小規模零細企業の経営相談をしていると、年々小規模零細企業の経営環境が悪化しているのが判ります。

競合の激化、売上額の減少、利益率の低減、雇用の不安定化、労働問題の多発化、資金調達の困難化、などなど。
これら“シクミ(事業モデル)”“ヒト(人材確保)”“カネ(資金)”が、小規模零細企業の開業や持続の難しさの原因になっていると思われます。

地方都市の経営環境は悪化しているのか

全国的に倒産は減少しているという情報があり、一方で地方では休・廃業が深刻化しているというような情報もあります。
果たしてそうなのでしょうか。

この問題の背景にあるのは、人と企業の首都圏一極集中ではないでしょうか。
東京、神奈川、埼玉、千葉の四都県に人口の28.26% (2014年10月総務省統計局)が集中し、企業の24.97%(2016年中小企業庁)が集中しています。

これらの四都県に較べると地方は人口も企業数も母数が小さいので、倒産や廃業率のパーセンテージが大きく反映されるために、倒産や廃業が増えているように見えるのです。
地方は今に限らず経済的には長期に渡って低調であり、その反面首都圏が好調なので相対的にそう見えるだけでしょう。

それよりも問題としては先に挙げたように、全体的な開業率の低下問題が大きいと私は考えます。

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