三菱自動車の燃費不正問題 どのような法的責任が問われる?

 | 弁護士
永野 海

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国土交通省が三菱自動車に立ち入り

国土交通省は、4月21日に、道路運送車両法に基づき、三菱自動車に対し立ち入り検査を行いました。
同社による燃費試験の不正問題によるものです。

三菱自動車が行った不正の具体的内容については今後の全容解明が待たれますが、少なくとも報道によれば、本来の規定と異なる方法で燃費の測定を行っていたことや、国に数値を報告する際、意図的に有利な数値を選択するなどしていたとのことです。

三菱自動車の燃費不正問題を法的に検討する

この三菱自動車の燃費不正問題を法的に検討してみます。
まず、各社の報道では、道路運送車両法という表現が多見されますが、当局がこの法律のいかなる条項に関する問題として手続を進めているのかがいまいちはっきりしません。

道路運送車両法は、自動車の保安基準に適合する車両しか運行させてはいけないと定めており、この基準には国交省で定める公害防止や環境保全上の技術基準も含まれていますので、関連性はありそうにも見えます。

しかし、報道のように、仮に本来より5%から10%の燃費数値の水増しという程度であれば、同法にいう保安基準に抵触するとまで言えるのか不透明さが残ります。
もちろん、監督官庁による速やかな調査と真相究明が必要であることは言うまでもありませんが。

景品表示法や不正競争防止法に抵触する可能性

法的な観点でいえば、むしろ、景品表示法や不正競争防止法に抵触するか否かという問題がより現実的な検討対象のように感じます。

景品表示法は、商品などの不当な表示により消費者が不利益を受けることを防ぐための法律です。
たとえば、中古車の走行距離を実際より少なく表示したり、事故車なのに修復歴なしと表示すれば、優良誤認表示として違法となります。本件の燃費不正問題も、実際の測定ルールに従った場合の燃費よりも、優良な燃費を表示していることから優良誤認表示に当たる可能性があります。

ただし、法4条にいう、実際のものよりも「著しく」優良な表示とまで言えるかは検討が必要でしょう。
景品表示法違反の場合、行政により措置命令がなされることになりますが、既にこれだけ不正問題が報道されている状況で措置命令にどれだけの効果があるかは疑問です。
ただし、法改正により課徴金制度が導入され既に施行されています。

他方、不正競争防止法では、商品の品質や内容について誤認させるような虚偽の表示をしたり、不正な目的で誤認表示をした場合には、懲役刑を含む罰則の対象となります。
本件では、燃費性能に関し誤認させるような表示があったとも考えられますから、不正競争防止法の違反がないか検討がなされるでしょう。

購入者から不法行為に基づく損害賠償請求がなされることも

また、不正に表示された今回の燃費を再計算した場合、いわゆるエコカー減税の金額が変更になり、購入者に追加の納税が発生する可能性があります。
また、ガソリン代が想定より高くかかることを問題視する消費者もでてくるでしょう。
企業の社会的責任として、三菱自動車側で自主的に消費者の損害補填の対策を積極的に行うことが強く求められますが、仮にその全部または一部が履行されなかった場合、不法行為に基づく損害賠償請求が消費者からなされることは十分に考えられます。

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