ペットの犬や猫の老化を知ることの大切さとは?

 | 獣医師
沖田 将人

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高齢化のチェックで一番重要なのは歯の状態

 犬や猫は食事内容の改善、予防医学、治療技術の発達、飼い主さんの知識の向上により、年々平均寿命も延びてきています。そしてこれにあわせて高齢化による犬、猫の変化もいろいろ現れるようになってきました。

 私たち獣医師が高齢化のチェックとしてよく確認するのは、歯です。これは具体的に言うと歯石がどの程度歯に付着しているかということで、高齢な犬、猫ほど歯石の付着や歯の摩耗、歯肉の後退が目立ってきます。
どんなに元気、食欲があっても、歯が汚い犬、猫は高齢化が進んでいる証であり、またさまざまな病気の原因となりえます。

 歯石が多くつくと人間同様歯周炎が起き始めます。これがさらに進行すると歯の根元が化膿していき、放置すればあごの骨が解けていきます。
これにより頬の部分(眼の下)に膿がたまって、パンパンに腫れ上がることがあります。

また炎症が鼻腔内にまで広がるとくしゃみや鼻汁、鼻出血など鼻炎症状を起こし始めます。
これがさらに進むと歯が抜け落ちた後に口の中と鼻の中がつながってしまい、フードや水を口に入れると、鼻から肺に入り肺炎を起こすよう
になることもあります。
ほかにも歯周炎を放置すると、心不全の原因にもなるといわれています。

ペットのデンタルケアについて

 犬、猫とはいえ、歯磨きなどのデンタルケアは必要であり、できれば主治医の先生に相談して、犬、猫用の歯磨きペースト、歯ブラシなどのデンタルケアセットを紹介してもらうとよいでしょう。

またすでに重度の歯周疾患になっている場合は、歯石除去、抜歯などの全身麻酔下での歯科処置や手術を受ける必要があります。
全身麻酔と聞くと怖い気がするかもしれません。
もちろん高齢での全身麻酔のリスクは0ではありませんが、歯石や歯周病を治療せずに放置するリスクと比較する必要があります。

年を取ればみな歯の手術が必要というわけではありませんが、全身麻酔は怖いからと目を背けず、きちんと向き合うことが、飼い主さんにとって、とても大切な親としての務めだと思います。 

症状が高齢化によるか病気によるかは主治医に相談して処置を

 その他にも年をとると、毛の色が薄くなる(白髪が増える)、脱毛、運動不耐性(少し運動するとすぐ疲れて休む)、運動能力の低下(今まで登り降りできていた段差、棚に上らなくなる)、太りやすくなる、などの人間によく似た変化が現れてきます。

ただしここで気をつけなければいけないのが、これらの変化は高齢化によって起きることもあれば、何らかの病気で現れることもあるということです。
脱毛は様々な皮膚病でも起きる変化です。

運動不耐性は心不全、腎不全、癌など様々な問題で起きる可能性があります。
運動不耐性も関節炎、椎間板ヘルニアなどの病気で起きる症状とよく似ています。
太りやすくなるというのも甲状腺機能低下症、脂質代謝異常などの病気できることもあります。

これらの外観上の変化や、行動の変化はおそらく飼い主さんが見て判断できるものではありません。
きちんと検査を受け、獣医さんに高齢によるものか、病気によるものかを見極めて貰う必要があるのです。
大切なのは「きっと歳のせいに違いない」と勝手に判断せず、主治医の先生に相談し、診てもらうことだと思います。

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