トヨタ 在宅勤務拡充 課題は?

 | 社会保険労務士
庄司 英尚

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多様な働き方を認め、優秀な人材をつなぎ留めるためにも必要

b7a96c96d6725be7d8a383a9c9842f70_mトヨタ自動車が、ほぼすべての総合職を対象とした在宅勤務制度を8月末にも導入することが明らかになり、話題になっています。
昨年4月から導入された制度では、1歳未満の子供を持つ社員に限り在宅勤務を認めていました。

今回は対象となる社員を大幅に広げる話が進んでおり、読売新聞の記事によると事務系と技術系で入社から5年程度たった社員を対象とする方向で調整しており、トヨタ本体の社員約7万2,000人のうち、1万~2万人程度が対象となるようです。
また1週間に2時間以上出社すれば、パソコンなどを使った在宅勤務を認めるような方向で労働組合と交渉しているようです。

その狙いは、育児や親の介護などの負担がある社員を働きやすくし、多様な働き方を認めることで人材をつなぎ留めるためで、生産性をアップさせたいという意図も当然あるでしょう。

在宅勤務の日数は、徐々に増やしていく

近年、他の大手企業でも在宅勤務制度を取り入れているところも増えてきており、ワークライフバランスの視点から考えても従業員にとっては望ましい制度ではありますが、現場で実際にマネジメントするほうにとってはかなり負担も大きく、評価する際の難しさもあります。

対象になった社員も、最初はとまどいもあり、慣れるまでにはある程度の時間がかかるでしょう。
やはり最初は月に1~2回程度からという形で徐々に増やしていくという形が望ましく、そうすることで失敗するリスクが軽減できます。

また在宅勤務制度を利用する以上、普段どおりの成果を上げなければいけないプレッシャーが強くなるので、積極的に利用しなくなる恐れもあります。
結局のところ本人の自律性が大事なのはいうまでもありませんが、ある一定の職務遂行能力がないとうまく機能しない可能性もあります。

「つながり感」を大事にすること

政府は、在宅勤務制度を推奨しているのは確かで、2020年までに、週1日以上終日在宅で就業する人の数を全労働者の10%以上にするとしています。
政府の後押し、そして社会の変化に対応していくためにも導入は不可欠のはずなのに、実際にはまだまだ普及していないのは、結局のところ一般的には会社側が従業員を完全に信頼することができていないのでなかなか実行できなかったというのも理由の1つです。

在宅勤務を利用することで従業員が実際に通勤などに使う時間を効率的に活用できるようになり、パフォーマンスが上がってきて、上司と対象となる本人の間で納得いくような状況になればさらに広がっていくと思います。
そのためにも会社との「つながり感」を大事にして、社内クラウドやWEB会議などにさらに工夫を凝らしていくことが欠かせないですし、更なるIT環境整備への投資も必要といえます。

これまでも在宅勤務制度を導入している企業は結構ありますが、上手に活用できている企業はあまり多くないというのも事実です。
日本を代表するような大企業であっても、これまでの他社の成功事例から謙虚に学ぶとともに、上記のような課題や働く側の心理面などをよく理解したうえで地道にコツコツ進めていくのが良いといえるでしょう。

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