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小児期の歯列矯正の治療タイミングと期間について

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小児期の歯列矯正治療のメリット

日本臨床矯正歯科医会監修のキッズの歯並びワクワクブック(小学館スクエア発行)によると、 骨の成長発育を生かして治療できるのが最大のメリットと記載されています。
つまり、骨の成長がとまってしまっている大人の場合は、あごの骨の大きさは手術以外でほとんど変えることができませんが、成長段階にあるこどもの場合は治療によって上下のあごの成長を抑制したり、促したりしてバランスを整えることができ、骨格的な改善をはかることができるということです。

他には、指しゃぶりや舌を突出する癖、舌小帯、上唇小帯異常、その他様々な悪習癖を早期に改善および予防することによって、不正咬合の増悪(歯並びがどんどん悪くなっていくこと)を阻止し、正常な顎の発育方向に誘導できます。

小児期の歯列矯正治療のデメリット

一方で小児期の歯列矯正治療のデメリットは
1:経過観察を含めて成長発育が終わるまで続くため、治療期間が長くなる。
2:治療期間が長くなることから、一般的に歯列矯正治療全体の治療費用が高額になりやすい。
3:長期間装置が口腔内に装着されることから、虫歯のリスクが高くなる。

つまり、御家族で虫歯の管理をきちんとすることが可能な方でないと、治療することで虫歯等のリスクが高くなります。

小児の歯列矯正治療開始の一番良いタイミングは?

 小児期の歯列矯正治療開始タイミングについては症状によって様々です。
日本矯正歯科学会では7歳までに咬み合わせの専門医による診察を受けようと推奨しています。

 これは、6歳でも5歳でも専門医による診察を受けても問題はないのですが、7歳までに診察を受ければ手遅れになることはほとんどないということと言えます。
つまり、6歳までは虫歯予防をしっかりとおこなう、場合によっては指しゃぶりなどの悪習癖をやめるように努力する。
鼻が悪く、口呼吸傾向の場合もこの時期に鼻をしっかりと治して鼻呼吸ができるようにしておく。
症状によっては、これらのことをしっかりとおこなうことによって、乳歯列期に不正があっても永久歯の交換とともに自然治癒する可能性もあります。

 7歳を目安に専門医の診察を受けた場合、治療のタイミングについて適格なアドバイスができる矯正クリニックが良い矯正歯科クリニックの1つと言えるでしょう。

適格なアドバイスは、
1:今すぐ治療したほうが良いか、それとも経過を見ていても大丈夫かどうか?
2:今すぐ治療しないのであれば、どの時期から治療を開始すれば良いのか?
3:治療しないとどのような障がいが生じるのか?
4:治療開始したいが、諸事情で治療開始を先送りにしたいが問題はないかどうか?
5:経過観察の場合、次回の来院は何カ月後くらいが良いのか?

以上のように、治療開始のタイミングや経過観察の頻度について適格なアドバイスができるクリニックは経験豊富といえます。
一方で、装置は何を使用するのか?費用はいくらかかるのか?トータルの治療期間はどの程度かかるのか?といった質問に対しては、矯正精密検査を受けたあとでないと説明するのが難しい場合もあります。          

小児期の歯列矯正治療期間について

小児期の歯列矯正治療の場合は身体の成長とともに、顎の成長を利用することになります。
顎の成長は歯列矯正治療にプラスに働く場合とマイナスに働く場合があります。

一般的には身体の成長が終了しても数年間は顎の成長があるといわれております。
つまり、顎の成長が歯列矯正治療に対してプラスに働く症状とマイナスに働く症状では、治療開始タイミングが全く異なります。
一方で定期観察も含めての歯列矯正治療終了タイミングは身体の成長終了後であり、すべての歯が永久歯に交換完了した時期といえます。

つまり、症状によって早期に治療を開始したほうが良い場合と、そうでない場合に分かれます。早期に治療を開始した場合でも、そうでない場合でも治療終了時期はほぼ同じであることで、症状によって治療期間が異なる理由も理解できます。

他に小児の歯列は、顎の成長とは別に、歯の交換と永久歯による歯列完成があります。
歯列には歯年齢という言葉があります。
歴年齢でいう1歳、2歳と同様に、歯並びにも年齢があります。
 
ここでいう歯年齢とは?(Hellman’s Dental Stage から一部引用)
1:乳歯列期    すべての乳歯がはえそろった時期
2:混合歯列期  永久歯と乳歯が混在している時期
3:永久歯列期  すべての歯が永久歯に生え変わった時期

すくなくとも、開始時期は1ないし2でないと小児期の治療タイミングを過ぎたと言えるでしょう。

小児期の歯列矯正治療で使用される装置について

小児期の歯列矯正に用いられる矯正装置は大人の歯列矯正に用いられる矯正装置と比較して、種類が豊富です。 
理由は大人の歯列矯正治療は顎の発育は終了してからおこなうのに対して、小児期の歯列矯正治療は顎の成長のコントロールはもちろん、歯列の拡大も大人の矯正治療と比較して容易におこなうことができるからです。

参考までに小児期の歯列矯正治療で使用される装置を挙げておきます。
1: 頭や顔など、口の外に装着して使用するもの (顎の成長のコントロール)
 ヘッドギアー フェイシャルマスク チンキャップ 
2: 取り外しできる口の中に装着するタイプ
 拡大床  FKO   スプリント  リテーナー  マウスピース装置
3:取り外しできない口の中に装着するタイプ
 リンガルアーチ ポーター  マルチブラケット装置

いずれにしてもお子さまの歯列矯正治療を考えている親御さんは、信頼できる歯医者に自分の子どもに合った治療開始時期と治療法を相談するようにしましょう。

田中憲男

患者とじっくり向き合う矯正歯科医

歯科医

田中憲男さん(プロ矯正歯科)

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