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マスコミが小池都知事に『女性初』という表現をするのはなぜか?

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海外で女性トップ就任は珍しくない

ドイツでは2012年からアンゲラ・メルケル首相が政権を担っていますし、韓国では2013年に朴槿恵パククネ大統領が登場しました。
英国では先月テリーザ・メイ氏が女性首相として選出されたばかりです。
そして現在米国では、ヒラリー・クリントン氏が民主党の大統領候補に選ばれ、今秋の本選で女性初の大統領となる可能性があります。
しかし、海外メディアは、女性がトップ就任することについて「女性初」というような表現をすることは少なくなっているようです。

日本の男女格差の現状

それでは他の分野では女性の活躍はどのような状況なのでしょうか。
世界経済フォーラム(World Economic Forum)という組織は、2015年11月、「The Global Gender Gap Report 2015」において、各国における男女格差を測る指数として、ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index:GGI)というものを発表しました。
本指数は、経済、教育、政治、保健の4つの分野のデータから作成されており、2015年の日本の順位は、145か国中101位でした。
日本における女性の活躍は、グローバルに見た場合にはまだまだ低レベルに留まっています。

安倍政権の男女格差解消への取組み

平成 24 年 12 月に発足した第二次安倍内閣では、「女性活躍」を政府の最重要課題として掲げてきました。
そしてポジティブ・アクション(積極的改善措置)を具体的に定めて様々な取組を進めてきました。
例えば、中央官庁の本省課室長相当職以上に占める女性の割合、地方公共団体の本庁課長相当職以上に占める女性の割合や民間企業の課長相当職以上に占める女性の割合を高める努力をしています。
その結果、女性の就業率も上昇するなど社会全体で女性の活躍の動きが拡大し、我が国社会は大きく変わり始めており、こうした取組に対して国内のみならず海外からも注目されるようになっています。

また、女性が職業生活において、その希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備するため、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)」が制定されました。
これにより、平成28年4月1日から、労働者301人以上の大企業は、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定などが新たに義務づけられています。
しかし不思議なことにこれらの取組実施や目標達成については、努力義務であり罰則規定はありません。
また、法律自体も10年間の時限立法となっています。

政治分野における女性の参画

さて、政治分野での女性の参画は進んでいるのでしょうか。
国会議員の男女比率の改善は重要な問題であり、つい最近、超党派の「政治分野における女性の参画と活躍を推進する議員連盟」(会長・中川正春元文部科学相)は、衆院選の比例代表名簿の記載方式を改め、女性議員の比率を高める公職選挙法改正案をまとめたところです。男女共同参画推進法案は、政党が候補を擁立する際の基本原則として、「できる限り男女同数となることを目指して行わなければならない」とやはり努力義務として位置づけています。

さらに都道府県知事の状況をみて見ますと現役の女性知事は3名のみです。
北海道の高橋はるみ氏(03年~)、山形県の吉村美栄子氏(09年~)そして今回当選した小池百合子氏です。
47都道府県のうちの3自治体、割合ではたった6%に過ぎないということは、日本の地方自治への女性参加はやはり遅れているということなのかもしれません。

『女性初』に込められた真意は?

今回の都知事選は、舛添氏及び前任の猪瀬直樹氏と2代続けて都知事が政治とカネの問題で辞職したために、知事としての誠実さが問われたのだと思います。
上記のとおり、都道府県知事への女性の参画が遅れていることは間違いありませんが、女性であることが勝因であったとは思えません。

小池氏の場合、知事という立場を利用した権益や税金の私的流用といった可能性が低いという清潔なイメージが、女性という言葉に象徴されているように思います。
つまりここでの「女性」という言葉は、社会的弱者としての女性を意味しているのではなく、誠実に税金の無駄遣いをせず男女格差問題に取り組んでくれるという、期待の意味を込めて使われているのではないかと思います。
女性でありながら、自民党の政党政治のあり方に一石を投じたという勇気に対する賞賛でもあると思います。

仕事で役立つ実践的なマインドマップ活用法を教えるセミナー講師

田村敏明さん(TLI-JAPAN)

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