長期化・高年齢化するひきこもり 家族はどう対応すれば良い?

 | 臨床心理士・スクールカウンセラー
岸井 謙児

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長期化・高年齢化傾向のひきこもり

内閣府が「ひきこもり実態調査」の結果を公表しました。
「ひきこもり」というのはあくまでもある臨床像を指したもので、固有な精神疾患を指す言葉ではありません。
そういう意味では「不登校」と同じです。
内閣府の定義によると「趣味の用事の時だけ外出する」「近所のコンビニなどには出かける」「自室からほとんど出ない」といった状態が6カ月以上続き、特別な病気と診断されていない状態ということです。

今回の調査は前回(平成22年度)の調査で最も数の多かった35歳~39歳の層である、現40歳以上は対象になっていません。
ですから実態をそのまま反映しているとは言えないかもしれませんが、依然として50万人を超える人達の約35%が「七年以上」引きこもっており、さらに35歳以上で引きこもりとなった人の割合が倍増するなど「長期化・高年齢化」の傾向が顕著になったと言えるでしょう。

ひきこもりに対して家族はどう対応すべきか?

現実として引きこもらざるを得ない当事者やご家族のご心労は察するに余りあるものがあります。
長期化・高齢化が進むと日々の生活だけでなく将来の心配も出てきます。
なかなか簡単に解決へと向かうことは難しいかもしれませんが、だからと言って何も対応をしなければ現状はますます膠着していきます。自然に解決するということが難しいのは確かです。

ではご家族としてどう対応すればよいでしょうか。
多くの場合、当初は厳しい口調や説得の口調で働きかけるご家族が多いようですが、膠着化した現状を一気に解決しようと本人に働きかけると、必ずそれに応じた逆ベクトルの抵抗が生じます。
これは引きこもりだけでなく、子供の不登校などでも同じでしょう。
ですから本人に働きかける前に、できればまずご家族が専門機関に相談することから始めてください。
そこで正確な見立てと客観的な対応方針を相談しましょう。
さらにご家族が定期的に相談する様子をそれとなく伝え、「相談すること」は特別な事ではないという感覚を持ってもらい、「カウンセリングって一体何をするのだろう?」と少しでも関心を持ってもらえればまずは成功です。

最終的に本人が相談に動くことが大切に

そして次に本人が相談に動くことが大切なのですが、ここが一番難関です。
ご本人も今の状態が望ましいと思っているわけではなく、何とかしたいと思いつつも動けないのです。
ですからその葛藤を踏まえてしつこくない程度に、まめに声をかけてはいかがでしょうか。
カレンダーにご家族の相談日を記入し、それとなく出かける前に声をかけて下さい。
拒否されても決して無理強いしないこと。
また前日や数日前に行く約束をしてもいざ迫ってくると不安から動けなくなる場合がほとんどです。
無理強いするとむしろ足を遠のける遠因にもなるので、それとない声掛けを無理なくあっさりと、しかしまめに続けていきましょう。
この「本人の相談機関への来室」が一番大きな山ですので、焦らず,慌てず,あきらめず、根気強く取り組まれることをお勧めします。
もし個人相談へ繋がれば、その後は少しずつグループ体験や作業体験、アルバイトなどで社会性を取り戻すことを目標にします。

最後に長期にわたる引きこもりは社会からの断絶と孤立感を引き起こします。
家庭での会話も外出や就業についての話題だけだとギスギスしてくるので、できれば趣味や関心事に関する雑談や軽い冗談などが交わせれば心を豊かにするきっかけとなるでしょう。
またご家族の精神安定も大切です。
家族だけで抱え込まずに気分転換を兼ねて周囲と交流し、煮詰まった空気を入れ替えましょう。
重苦しく閉塞感に満ちた状況に外部の新鮮な風を入れる取り組みを、周囲に支えられながら粘り強く続けていくことが必要だと思います。

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