給付型奨学金、高校成績「4」以上が条件 実施に向け問題点は無いのか?

 | 進学塾塾長
栢原 義則

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給付型奨学金の案を自民党が検討 高校成績「4」以上などが条件に

自民党は、奨学金問題を念頭にふまえ「給付型奨学金」の案を検討しています。
自民党のプロジェクトチームがまとめた中間報告案では、「生活保護世帯など住民税非課税世帯」「高校時の成績が5段階評定で4以上」を条件として挙げているようです。
無利子奨学金が今年8月に「必要とするすべての子ども達が受給できるよう」にと、今までの「3.5以上の評定」という成績基準を撤廃したばかりですが、給付型においては「4以上の評定」という成績基準を設定することにしたようです。

高校時の成績評定と学校間格差との調整が実施に向け問題に

返還義務のある奨学金と返還義務のない奨学金の間で受給資格に差をつけるのは当然のことだと考えられますが、条件に掲げている「高校時の成績評定」に関しては現在の学校教育現場における学校間格差をどのように調整するのか、公平性を期す為の新たな指針の作成も必要になるのではないでしょうか。
受給資格の基準に相対的基準でしか測れない指標を持ち込むのは感心できませんが、奨学金の本来の目的を考えると個人の努力差・能力差を指標にすることは仕方のないこと事だと思われます。

ただ冒頭にも記しましたが、「高校時の成績評定」が「高校での成績」になるのであれば評価される側ではなく評価する側に普遍性・一般性がないのも問題です。
つまり、生徒の在籍学校により、各生徒の成績評価がなされるので、国公立大学を目指す生徒が集まっている高校とそうでない高校、公立高校と私立高校、単位制高校では、同じ成績評定でも学力にかなりの能力差があることは否定できません。
また、高校を中退した生徒や、社会に一度出た者が給付型奨学金を受けるために必要な条件はどうなるのかなど、受給者の選定にあたり予期せぬ不公平が生まれる可能性もあるでしょう。

時代を見据えた教育改革の一つとして奨学金制度の根本的な見直しが必要

給付条件に成績基準を設けるのであれば、できれば成績評価の実施母体を文科省が担い、評価基準を一元化するのが望ましいのではないでしょうか。
実は、私も高校・大学と給付型奨学金を受給したお蔭で学業を全うさせていただいたのですが、当時は国による受給資格テストがあったと記憶しています。
せっかく、2020年に向け大学の入試制度の改革が進められているのですから、資格試験的な利用を促進する観点に立った試験制度の導入も合わせて検討するいい機会かと思われます。

そもそも、グローバル化時代を迎えようとしている昨今、国家戦略の一環として教育の必要性が声高に叫ばれ、多くの先進国は教育の無償化に向かっています。
そのような中、日本も目先のアンチョコな奨学金制度改革ではなく、もう一度、奨学金の有るべき本来の姿を見直し、時代を見据えた教育改革の柱の一つとして、「誰もが夢をあきらめなくてもすむ」ような奨学金制度の根本的な見直しを図っていただく事は出来ないのでしょうか。

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