増え続ける高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中

 | 介護事業コンサルタント
松本 孝一

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増え続ける高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中

最近、増加してきた高齢者介護を巡る家族間の殺人や心中などの事件に関して、驚くような数字が発表されました。
読売新聞の調査では2013年以降、全国で少なくとも179件発生し、189人が死亡しているということです。

ほぼ1週間に1件のペースで発生していることになりますが、その事件の4割が70歳以上の夫婦間で起きたケースということです。
介護が必要な人が10年前の1・5倍の600万人超に膨れ上がり、様々な問題から高齢の夫婦が「老老介護」の末に悲劇に至る例が多いことが浮き彫りになりました。

介護殺人や心中はどのような状況で起きるのか?

「介護殺人・心中」は、いわゆる「介護疲れ」が要因とされています。
その「介護殺人」は、どのような状況で起きているのでしょうか?

日本福祉大学社会福祉学部の湯原悦子准教授が2012年に発表したデータによると、被害者側の73.5%が女性であり、加害者側の73.2%が男性であったようです。
加害者も60歳以上の「老老介護」の介護疲れの末と思われる事例は58.0%にのぼっています。
また「殺人」が 54.3%とその半数を占める一方で、「心中」は15.9%であったようです。
身体的虐待の結果ともみられる「傷害致死」は13.3%。さらに加害者の申し出に被害者が同意する「承諾殺人」や被害者に頼まれて殺害する「嘱託殺人」も計10.6%もあったとのことです。
加害者別にみてみると、「夫」による犯行が34.2%と最も多く、次いで「息子」が32.9%。2009年以降は夫が息子を上回った状況となっています。
また、被害者は33.9%が「妻」で、32.8%が「実母」となっています。

介護保険制度が導入された2000年時点において「介護疲れ殺人」事例は39件であったそうですが、その後、医療介護費抑制傾向の強まった2006年以降は、年50件前後で下げ止まらないまま推移しています。
福祉先進国とはとても思えない介護貧困事情があらためて明らかになっています。

今後、ますます増加することが懸念される・・・

まだまだ続く高齢化社会、今後もこのような事件が増え続けると考えられます。
介護サービスは、施設介護から在宅支援介護へ転換してきましたが、残念ながら老々介護の問題は年々増加しています。
その結果、「介護疲れ」によるストレスが原因となり、中には「介護殺人・心中」を引き起こしてしまうケースが今後も出てくるでしょう。

在宅介護サービスが十分でないことも介護疲れが起きる原因なのでしょうか?
私は、そのようなことはないと思いたいのですが、現実にはこのような事件が増加してきた2013年以降、同様に介護現場では、職員不足が問題となってきていたという事実です。
直接的な要因ではないのかもしれませんが、介護業界における職員不足が様々な問題の起因になっていることは、間違いありません。
ということは、この問題を解決しないことには、このような事件が減少しないと言っても過言ではないと思われます。

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